虎ぶる!!
11
「でもさ、あいつ使えねーな。飯床に置いとくからラージが食わなかったんだ。」
「それは……許してあげてください。」
「なんでだよ?」
使用人なんだからちゃんと仕事をするのが当たり前だ。
そう思いながら不満げに神崎を見たら困ったように微笑んでいた。
「みなさん、怖いんですよ。なんたって虎ですからね。」
「怖い……?」
その言葉に首をかしげる。
神崎や俺みたいにラージが怒ったとこ見たなら怖がるの分かるけど、何も見てないはずの奴がなんで怖がるんだよ?
「あのですね……普通、動物に言葉なんて通じないです。何してくるか分からないですよ。」
「…………。」
確かに、そうだ。ラージは人間の姿にもなるし話が通じるから大丈夫だって思ったんだ。
でもラージと一緒にいてそんなことする奴じゃないって思ってたのに、やっぱり人を襲うんだって分かって……。
「じゃあ、神崎も怖かったのか?」
「私は最初から怪しんでましたよ。全く警戒してませんでしたし、ラージという名も晃様が考えたとは思えません。その他にも、牛とネギは食べないだの食事は人間のものと同じでいいだの……とても晃様が考えたようには……。」
「てめぇなっ!」
「でも、今はもう怖くないです。」
「はっ!?なんでだよ、襲われたのに!?」
「襲われたからですよ。」
「はあっ!?」
こっちはビックリしてわけわかんねーってのに、神崎はにこにこしながら平然とそう言ってのけた。
こいつ頭おかしくなったか!?襲われて、頭イっちまったのか!?
「もしあの時、ラージ様が本気で攻撃しようとしたなら私は今ここにいませんよ。」
「なっ……。」
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