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虎ぶる!!



 電話の相手は神崎じゃない他の使用人だ。

 だってほら、昨日あんなことあったし、一応な。


「別にいいだろ。」
『……か、かしこまりました。』


 その言葉を最後に俺は電話を切った。

 なんか……嫌そうだったな。なんでだ?

 そーいや、神崎が嫌そうにしてるとこってみたことねーなぁ。

 見たところ結構若そうなのに、あいつが一番使いやすい。たまに失礼なこと言うやつだけど……。


***********


「はぁ……。」


 俺は、落ち着いた雰囲気のこじんまりとした喫茶店にきていた。

 結局、美容院には行かなかった。

 べ、別に、髪どーしよーか悩んで行かなかったわけじゃないし、ふつーに、金髪でいいしっ。

 それに、やっぱ気分のらねーし……。

 注文したメロンソーダのストローを無意味に動かして、コップの中で回る氷を眺めた。

 正直……正直さ、こえーんだよな。……ラージが。

 初めて会った時は吠えられてビビったけど、あれから牙を向くこともなかったし今まで俺に危害を加えたことは一度もない。それに、いつも強引だけど優しいとこもあってさ。

 だから安心してたんだけど……昨日の、神崎を襲ったのを見たら……。

 怒らせたら俺もあーなるのかな、とか。

 だから昨日のこと聞くなんてとてもじゃないが出来やしない。

 それだけじゃない。もしこれから先、知らずに地雷を踏んだら……って考えるとラージに話しかけるのが怖い……。

 どのくらいそうしてただろうか。

 まだ半分ほど残ってるコップの中には氷がなくなっていた。

 グラスから滴り落ちる水滴をぼーっと眺めていたとき、ポッケの中に入れてあった携帯が震えた。

 それを取り出し相手を確認すればダチからだった。


 

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あきゅろす。
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