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虎ぶる!!



 掴んでいる手に力を入れて神崎をジッと見つめた。

 お互い譲らずしばらく見つめ合ったままだったが、不意に溜め息を零して目を逸らされた。


「……分かりました。何かあればすぐ私を呼ぶように。」


 俺は頷いて手を離すと、神崎は去っていった。

 部屋の中を見ると相変わらずソファーに伏せているラージがいた。

 虎の姿じゃどんな表情してるか分からないけど、ラージはこちらに背を向けていて余計分からない。

 心臓が、まだ痛い。

 喉がくっつきそうなほどの渇きをしかとして無理やり唾を飲み込むと、部屋の中に入って扉を閉めた。


「……ラージ。」


 声をかけてもピクリとも反応しない。

 しばらく背中を見つめていたが、ラージに近寄ることなく寝室に向かった。


「…………はぁ〜〜〜。」


 キングサイズのベッドに倒れ込むように横になり重い息を吐き出す。

 なんで急に使用人を襲ったのか分からない。

 ラージが喋る虎だってこと信じるって言ったからか?

 そーいや、俺の前以外で喋ろうとはしなかったし、理由も教えてくれなかった。

 虎が喋るのは何かマズいことなんだろうか?

 確かに、動物が喋るなんて聞いたことねーけど。でもそれってすげーことじゃん。

 もし俺がラージの立場だったら喋りまくって自慢するぜ。

 なんて、呑気なことを考えていたら気がつけば寝てしまっていた。


**********


「……ん〜っ。」


 目を覚ました俺は思いっきり伸びをした。

 すがすがしい。今日はとてもすがすがしい朝だ!

 何故かって、昨夜は何もされていない!

 寝る前は必ず触ってくるし、朝やる時よりも長めだから、ラージがここにきてから何もなかった夜は初めてだった。


 

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あきゅろす。
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