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虎ぶる!!



「なんだよ?」


 扉を開けるとそこにいたのはいつも俺の世話をしている使用人だった。

 そいつは俺の顔を見ると眉間に皺を寄せた。


「晃様、熱があるんじゃないですか?お顔が赤いですよ。」
「なっ!!ねねねねーよっ!?」
「そうですか?少し呼吸も荒いようですが……。」
「だからっ!ねーっていってんだろ!!」



 指摘されっと余計顔が熱くなるじゃねーかっ!


「……晃様。」


 早くこの話題を終わらせたいのに使用人が急に真剣な顔をしたから、仕方なく次の言葉を待った。


「お言葉ですが……バカは風邪を引かないと言いますが、それはバカすぎて風邪を引いていることに気付かないからなんですよ。」
「てめぇぶっ飛ばすぞ!!」


 俺は思いきり壁を蹴り付けて使用人を睨み付けた。

 なのにこいつはビクともせず。


「ふふ、それだけ元気があれば大丈夫そうですね。」


 なんて安心したように笑うから、俺は舌打ちをしながら顔を逸らして壁につけたままの足を下ろした。


「……晃様が前に、虎が喋ったと仰っていましたよね。私は信じますよ。」
「……えっ?」


 やり場を失った怒りを持て余して悶々としてたけど、予想外の言葉が聞こえて顔を上げる。


「普通、ホワイトタイガーの目はアイスブルー……青いんです。」
「……え?なんでだ?白いウサギも目赤いじゃん。」
「アルビノとは違います。ホワイトタイガーは白変種と言って……。」
「?……カルビーノ??牛肉?」
「……とにかく、目が赤いのは有り得ないんですよ。ですから、虎が喋るのも……っ!!」
「神崎っ!!?」


 いきなり、すぐ側に風が通りすぎたかと思えば、使用人――神崎(カンザキ)が吹っ飛んだ。


 

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