貫く男心(3/5)
「‥で?
ただ校舎裏に着いたよーに見えるけど」
「いんや、
まだまだ。こっち」
「「「‥は?」」」
チュウは一人で、脇の茂みの中にズンズンと入っていってしまった。
「おいおい」
戸惑いつつも、とりあえず着いていく三人。
そんな事にはお構い無しに、
チュウは鼻歌なんか歌いながら三人を先導していく。
「‥こんな森みたいなトコ入っていいのかよ」
「せめて、林だろ?
いーんじゃない。
その可愛い娘も入ってったみてーだし。
つか、草に隠れて見えなかったけど、
道になってたんだな、ここ」
「そりゃ見つからないはずだよな」
周りを見渡すと、道の横っちょに、小さいガラス張りの建物や、
水が流れてる細い水路の様なモノがある。
「なんだっけ?
びお、びおとーぷ?」
「ビニールハウスじゃね?
バナナ育ててるんだ、きっと」
大楠と高宮のやりとりに突っ込むチュウ。
「んーなん、どーでもいーよ。
とにかくこの水路の先に、溜池みてーなのがあって、
ソコでその娘がスケッチしてるってわけよ。
もうすぐだ」
自信満々のチュウに
大楠がじとーと横目で見る。
「しっかし、本当に可愛いのかねぇ」
「まぁ、チュウの言うことだから、
そんなに期待しねー方がいいだろうな」
「何を言う洋平くんっ!
後悔しても知らないよ?
さっ、ここだよ!」
「「「‥‥‥ι」」」
やけにハイのチュウに引く三人。
四人は腰を屈め、体勢を低くしながら、チュウが誘導する方向に移動した。
そして、目的の場所に着くと、
とりあえず、高宮の口を抑え、
草むらから覗き込んだ。
「おっ、確かにいるな、一人」
「実在はしたな」
ヒソヒソと話す洋平と大楠。
高宮は口が塞がれてるので、話せない。
「いーいから、顔見ろよ顔!」
「まぁまぁ、そう怒るなって、チュウ」
「どれどれ‥」
じっと見つめる四人。
「「「‥‥‥」」」
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