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散雪華〜貴方と共に〜
初試合

与えられた部屋で、着替えを済ませ、説明された道場に着くと、そこにはもう皆さんの姿もあった。


「お待たせしました。」

「おう来たか。 お前の相手は平助だ。」

「よろしくな! さっそく始めようぜ!!」


私は用意してもらった防具を付けて、平助の前に立った。

「女だからって、容赦はいらないからね。 いつも通りでお願い。」

平助は無言で頷くと、一礼をして竹刀を構えた。


ふう。

試合の前には一呼吸。 これはお祖父さまがいつも言っていた言葉。


「やあああああああ!!」
「はあああああああ!!」

私たちが床を蹴ったのは同時だったと思う。


最初の面をよけ、撃ち込む。
けど、予想通りあっさりよけられた。

でも、こんなのは余興にすぎない。

私が得意とする戦い方は、まず相手の攻撃を誘って弱点を探ること。 それから一気に畳み掛ける。


私が歴史で習った平助の異名は、『魁先生』。

(突っ込んで行くのが平助なら、私はこうよ!)

「やああ!」

平助が面を撃って、そのまま抜けたのを見て、私はそれを追った。 そして…

「めーーん!」


決まった…!



追い面。 平助が振り向いた直後、私の面が決まった。

「一本! そこまで!」

道場に審判の声が響く。


「ありがとうございました。」

「…ありがとうございました。」


お互い一礼して、元の場所に戻り、面をとった。

「へえ。平助から一本とったか。」

「しかし、あの剣捌き、どこの流派の動きだ?」


驚くのも無理ないか。

私の剣はお祖父さまからの直伝で、代々伝わっているものだから、外の者たちが知らないのは当たり前だから。

「お祖父さまからの直伝なんです。だから、流派とかは…」

「へえ。じゃあ、君の家、剣術じゃ有名だったの?」

「いえ、そんなことは…。 まあ、昔はそれなりに大きな家だったみたいですけど。」


「ふ〜ん。ま、別にぼくは一葉ちゃんの家なんて興味ないからいいんだけど。 それより、ぼくと試合やらない?」

「…は?」

「壬生浪士組が女子に負けたなんて、格好悪いじゃない?」

「そうですか?そんなのどうでもいいですけど…。でも、試合なら受けて立ちます!」





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あきゅろす。
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