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無くした夢想曲。


 ココハ……ドコ? ボクハ……ダレ?
 闇一色に染まったに、桃和[モモカ]は一人立っていた。上を見ても下を見ても“闇”。左右を見ても“闇”。そんな世界に桃和は居た。

「……何なの……? ゆっ、夢でしょ」

 桃和は不安そうな表情で辺りを見渡す。その体は微かに震えていた。

「……え? 花……びら?」

 突然、何処からか紅薔薇の花びらが舞ってくる。その紅薔薇は“血”の様に赤かった……。

「逃げて───」

 そして、何処からか優しく安心する懐かしい声が聞こえる。桃和はその声にピクンと反応し、辺りを見渡す。しかし、人の姿はない。

「……逃げて───」

 そして眩い光が突然桃和を世界を包み、“それ”は終わった。

「……“夢”か……え?」

 桃和の手には──紅薔薇の花びらが握られていた。



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