U 「何かあったの?」 静寂に包まれた部屋。皆が居なくなったのを確認すると、彼女は心配そうに尋ねた。 彼女の事だ。多分俺の想いにも気付いているかもしれない。 「私から母に頼みましょうか?縁談を破棄するように」 小さく言う声が少し震えていて、『やはりな』罪悪感を感じた。 「三葉」 申し訳なさそうに名前を呼ぶと 「好きな人が居るんでしょ?」 笑顔で聞かれた。泣きそうな顔。 ごめん三葉。俺はお前を裏切ってばかりだ。 「ああ」 これ以上隠しても意味がない。素直に頷いた。 「いつから気付いてた?」 そんなに俺は顔に出してたのか?少し不安になって尋ねると 「中2の新学期からかしら、その日十四郎さんに逢った時違和感を感じたの。あっ、恋に落ちたんだなって」 「・・・・・は・ぁあ!?」 初日からバレてたのかよ。隠してた意味ねぇ。 「ごめん」 取り敢えず謝った。 「相手にはまだ告げてないのね、好きだって」 小さく頷く。 「今は、告白されて嬉しくて思わず手を出したけど突き放してしまって、これからどうしたら良いんだって悩んでいる所かしら?」 「!?」 ちょっと待て。俺そんなに迄分かりやすいのかぁ!?もしかして出してないつもりだったが、全部顔に出てるのか?それとも知らず知らずの内にブツブツ独り言でも言ってんのかぁ? 「えぇっと三葉?」 怖々名前を口に出すと 「安心して。私にしかバレてないと思うから」 ニッコリ微笑まれ『読まれてる。完全に心情を読まれてるよ』引きつった。 [*前へ][次へ#] [戻る] |