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V
一度出来た溝は埋まる事なく深まるばかりで。
毎日側に居た筈の土方は俺の側に居なくて。まるで今迄の友情が嘘の様に思えた。
目が合っても近くを通ってもサラリ躱され、ワケが分からない。
あんなに優しかったのに。好きだって言ってくれたのは嘘?
土方の熱を思い出した瞬間過ぎった嫌な考え。
もしかして後悔してる?やっぱり・俺が、汚い・から?軽・蔑してるのか?
嫌だ、やっぱり話すんじゃなかった。話しちゃいけなかったんだ。
好きだなんて、愛してるなんて・・・・・言っちゃいけなかったんだ。
バカな俺。土方は優しいから。好きだって言ってくれたのも、抱いてくれたのも全て・俺を慰める為。実兄に傷付けられた俺に同情したから。
絶望した俺は涙を堪えながら《ごめんね土方。好きになって・ごめん》訣別のメールを送信した。
途端零れ落ちる雫。
嫌だ土方。無かった事になんかしないで?又前みたいに笑い掛けてよ?銀時って呼んで?
想いは口に出せず、涙と共に・消えて無くなった。

土方は彼女の物。最初から無理だったんだ。
想いを断ち切る為、俺は断腸の思いで携帯から土方のデータを消した。
来ない返事を待つのはもう・嫌だよ土方。

土方を忘れる為、俺は必死に勉強した。何でもいいから頭を動かしていないと、気が狂いそうだったからだ。
周囲に心配を掛けたくなくて、無理矢理明るく振る舞う日々が続き・・・・・月日は流れた。
時折思い出す土方の温もり。チラリ目線を向けてしまう。多分この時の自分は・情けない顔をしているに違いない。
不思議な事に、アレから一度も金時には逢っていない。
余程土方との事がショックだったんだろう。多分俺達の関係を誤解したんだな。
バカな金時。俺と土方は何とも無いのにさ。
そう自嘲し、余計虚しさが募った。

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あきゅろす。
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