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1年後、2人は本格的に付き合い始めた。


[銀時さん]
毎日呼ばれていた名前。
[抱かせて下せい]
毎日触れられていた肌。

[もしかして銀時さん初めて?]
キスもそれ以上も、沖田くんが初めてだった。
[ーーーーーうん]
身代わりだと理解していたのに
[なら優しくしやす]
触れて貰えるのが、嬉しくて堪らなかった。

ねぇ沖田くん。
今はその声で神楽を呼ぶの?
神楽に触れるの?
もう側には居てくれないの?
本当に好きな人が手に入ったら、俺は、もう、用済み?

触れて欲しい。
キスして欲しい。
愛して欲しい。
そう思うのは、間違ってる事?
俺の我が儘、なのか?




毎日沖田くんは
「じゃあな、神楽」
玄関の前まで神楽を送ってくれる。

チュッ、別れる間際にされるキス。
沖田くんからだが、別に神楽も嫌ではないらしい。

若い恋人同士だから違和感はない。
実際、神楽と沖田くんはお似合いだ。
今の2人には入り込む余地など全くない。

それでも
『嫌だ、触れないで?見たくない』
諦め切れない。


夜、コンビニに買い出しに行ったら
「銀時さん?」
偶然沖田くんに遭遇した。

自然と唇に行く目線。
さっき神楽と重なった。
そう思うと、激しく沖田くんが、遠くに感じた。

苦しい。
胸が締め付けられる。
なんでまだこんなにも好きなんだろう?
なんで諦め切れないのだろう?

俯いてしまった顔。
ペロッ、頬を舐められた。

「えっ!?沖田くん???」
慌てて顔を上げると
「涙」
えっ?
ふわり微笑まれた。

無意識に流れていた涙。

あれ?何故だろう?
止めたくても止まらない。
意思とは裏腹に溢れる涙。

あぁ、そうか。
もう、限界なんだ。


「沖田くん神楽の事好き?」
「はい」
曇りのない答え。

俺はもう要らない存在。
彼に必要なのは神楽だけ。
最初っから分かり切ってた筈じゃないか。

なのにどうして傷付くんだ?
どうして?
どうしてこんなにも、まだ、好き・なの?


ポロポロ涙を流していると、クスリッ微かに沖田くんが笑った。

「可愛いですね、銀時さんは」
『え?』
久々に聞くセリフ。
その直後
『どうして?』
唇が重なった。

「その目線が語ってますぜ?」
目線?

「俺は狡い奴ですから一度手に入れた物は捨てやせん」
どういう意味?

「神楽の次ですが、好きですよ?」
2番目宣言をされて迄好きなんて、どうかしてる。

それでも貴方が俺を欲してくれるのなら
「銀時さんは?」
何番目でも構わない。

「ーーーーーー好き。総悟が、好・き」
その日初めて
「なら銀時さんからキスして下せい」
自分から彼に触れた。




一方通行な恋。
一生叶わなくても、愛されなくても。
貴方を想い続けても良いですか?

「俺が一番好きなのは神楽ですよ。それでも良い?」
諦めの悪い俺を
「・・・・良・い」
どうか許して下さい。

この想いを消す事は無理。
それ位、好きなんだ。
だからお願い。
時々で良いから
「銀時さん」
錯覚させて?

「んっ、総・悟。ふ・ぁ」
甘いキスで酔わせてよ?

「バカだね銀時さん。そんな可愛い顔して。離せなくなっても知りやせんぜ?」

俺は一生
「うん。離さないでよ?」
貴方だけの物・だから。

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あきゅろす。
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