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T-T
[一目惚れなんです。付き合ってくれませんか?]
物凄く可愛らしい女の子に告白され
[えっと、まずは友達からでも良い?]
付き合い始めた中1の春。

[やっぱなんか違うみたい。ごめん別れて?]
そう告げられてフラれたのは約1ヵ月後。

違う学校の女の子で、全然知らない子。
向こうから好きだと言ってきたのに、一方的にフラれた。
彼女曰く[甘党の男は好きじゃない]だった。
なんだソレ。男が甘いの好きで何が悪い。
確かに見た目だけじゃ食べ物の好き嫌い迄は分からない。
だけどフる理由がソレってどういう事?
[好き]と言われ喜んだ自分がバカみたいに思えた。

それ以来、俺は一目惚れを信じられなくなった。
TVや本、周囲の会話の中でその話が上がっても
『なんで中身を知らないで好きになんかなれるんだよ?バカらしい』
口には出さなかったが、毎回心の中で毒を吐いていた。

なのに何故だろう。
神楽の入学式の日、俺は一目惚れをした。
同じ高校に進学した神楽。
少しシスコン気味の俺は神楽が心配で、放課後教室迄迎えに行ったんだ。
中学と違って此所家から遠いし、地下鉄も使用しなければならない。
満員時痴漢にあったらどうする?
事故に巻き込まれたら?
今迄遠出をさせた事無かったから、勿論朝も一緒に登校した。
だから下校も一緒じゃなきゃ心配で堪らない。
兄バカ丸出しで教室に行くと
ドキンッ!!!
ある人物に目を奪われた。

少し低めの身長。
サラサラで綺麗な髪。
人形の様に整った綺麗で可愛らしい顔。

不躾に見過ぎたからか絡み合った視線。
ふわり微笑まれ
『嘘だろ?』
身体が熱を帯びた。

目が離せれない。
『名前何だろう?』
『どんな声をしてるんだろう?』
『スッゲェ綺麗』
口には出していないが、心の中は騒がしい事になっている。

『話出来ないかな?』
って、ちょっ、落ち着け俺。
何男相手にドキドキしてんだよ。
小さくて可愛いが、明らかにアレ男だろ。
俺も高1迄は背ぇ低かったしさ。
不自然にならない様気を配りながら、ゆっくり視線を神楽に移した。

一目惚れとは、外見だけでその人を勝手にこんな人かな?とか決め付けて好きになる事。
そう解釈していた。
だから、中身を知ればこんな気持ちなんか消えると思ったんだ。
なのに何故だろう。
知っても尚、消えなかった想い。
本当に一目惚れから始まる恋もあるんだなって、驚かせられた。

毎日していた神楽との登下校。
だが神楽に一緒に帰れる友人が出来てからは止めた。
兄としては喜ばしい事なのに、何故か寂しかった。
神楽と登下校出来なくなった事よりも、教室に行く口実が減った事の方が大きかったダメージ。
兄失格だな。
だけどこれで彼にも逢わずに済む。
これ以上視界に入れたら、色々知りたくなる。
今よりもっと、絶対好きになる。
だからこれは諦める機会だと決め付けた。




なのに、神楽が学校に慣れ始めた頃だった。
「銀ちゃん私告白されたね」
衝撃的なセリフを耳にしたのは。

「はぁ!?相手誰?」
俺の可愛い妹に手ぇ出すなんて、良い度胸してんじゃんか。
直に逢って品定めしてやるよ。

「沖田総悟」
え?今、何て言った?沖田総悟?
嘘だろ?

一目惚れしてしまって、必死に諦めようと頑張っていた相手。
年下の、しかも男に惚れるなんて、相手にして貰える筈無きに等しい。
だから忘れたかったのに。
なんでよりによって神楽なんだよ?

「で、付き合うのか?」
頼む、断ってくれ。
必死に願ったのに
「別に断る理由なんてないし?」
サラリ神楽は口にした。

えっ、断らないのか?

「明日返事するから付き合うよろし?」
「は!?」
なんで俺が付き添わなければならないんだよ?

何故か俺は、神楽の返事に付き合う事になってしまった。
人生何が起こるかなんて、全く想像つかない。



翌日、
「で、なんでお兄さん居るわけ?」
やはり聞かれた。

「私が頼んだアル」
「返事は?」
「別に、付き合っても良い」

素っ気無かったが肯定のセリフで、嬉しそうな顔をする沖田くん。

ーーーズキンッ。胸が痛んだ。

「でも1つだけ条件あるね」
「何?」

その条件とは、神楽が沖田くんを本気で好きになる迄、絶対に手を出さない事。
勿論キスもだ。

「無理」
沖田くん即答。
確かに、好きな女の子と付き合って何もしないなんて不可能に近い。

「どうしてもしたくなったら銀ちゃんに相手して貰うアル」
ちょっと待て。
神楽ちゃ〜ん?
今何て言いました?

「「はぁ?」」
俺は性欲処理機か?
俺と沖田くん2人の声がハモった。

「それが嫌なら私の事は諦めるよろし」
なんだソレ。
んなの沖田くん承諾するわけないだろ?

「分かりやした」
って、するんかよ。

「えっと、名前教えてくれやせんか?」
ゆっくり向けられた視線。
「坂田銀時」
顔に熱が集まる。

頼む、そんなに見ないでくれ。
お前を諦める決心鈍るだろ?

「なら呼び方銀時さんで良い?」
嘘?名前呼び?
「ーーーーーーうん」
って、バカ野郎。何照れてんだよ俺。

「これから世話になるから、宜しく?」
差し延べられた手。
「宜しく」
握手の為重ねる手が、カタカタ震えていた。
キュッ、初めて触れられた手。
それだけで、全身が燃えそうな位、熱を持った。

どうしよう?
俺、このままじゃバレてしまう。
沖田くんを好きな気持ちがバレる。
だって意識せずにはいられない。

だけど、沖田くんが好きなのは神楽。
だから、この気持ちは伝えてはならない。
絶対に成就する事なんて、無い・のだから。




こうして、俺と神楽と沖田くんの奇妙な関係は始まった。

俺の胸に、大きな葛藤を作ったままに。

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