狂った王国 プロローグ 「ねぇ大臣さん。僕ね、大人になったら、お父様みたいにりーっぱな王様になるんだ!」 一人の男の子がとても可愛らしい笑顔をこちらに向けながら言う。 その笑顔には狂気の欠片など微塵もなく…私は理解する。これは遠い過去の記憶、私は今夢の中なのだ、ということを。 夢だとわかった途端に意識が一気に覚醒する。 目を開ければ、そこは夢の中ではない、紛れもなく現実で… 体をゆっくりと起こし、先程まで見ていた夢のことを思い出す。 あの方の、幼き頃の純粋な笑顔。 今とは違う、狂気など一切こめられていない笑顔。 あの方が夢の中での笑みを浮かべることはもう永遠にない。 私が仕えるこの国の王は、もう完全に、狂ってしまわれているのだから。 次回予告! 次回から本編書いていきます。 お楽しみに! [戻る] |