嘘つきlovers。 10+ 翔兄が理事長を勤めるその学校は、電車を乗り継いで数時間、というところにある。 車で行けばそんなに時間はかからないみたいだけど。 電車に乗っていると、少しずつ、ビルばかりだった景色が木々に変わり。 目に優しいその緑色が、俺の心まで癒してくれるような、そんな感覚。 …これなら、忘れることが、できるかもしれない、 俺はそう思った。 …。 その学校は、中高どころか、幼稚園から大学まである。 その中で、中学と高校とが男子校で、全寮制。 それ以外(幼、小、大)はもっと都心にあって、姉妹校である女子校の生徒も入学する共学。 …なんで中・高だけ男女分ける意味があるんだろう、 そう思って翔兄に聞いてみたら、 『あー、歴史が長いから、昔の名残が残っているんじゃないか?』 と、適当な答えが返ってきた。 だ、大丈夫かな、園田家…。 そうそう、翔兄は長男であるわけだから、 まだ若いのに早速、中高の理事長なんて任されているのだ。 詳しくは知らないけど、"園田"は他にもいろいろと経営しているみたいで、 つまりはお金持ち。うん、簡潔。 俺の家もまあそんな感じだし、特に俺は一人っ子だから将来のこと、ちゃんと考えていかなきゃいけないわけなんだけど、 両親に言ったら『なんとかなるわよ、いざとなったら養ってもらいなさい。』と母。 …そんな息子でいいの、母さん…。 過保護なくせに、将来のことになると適当なんだよ、二人とも。 [*前へ][次へ#] [戻る] |