嘘つきlovers。 1 ねえ、あの頃は、楽しかったね? 世界は、きみとぼくの二人だけでさ、 それ以外は、ないも同然で。 きみの瞳に映る、 じぶんの顔を見るのが好きだった。 大好きだった。 だいすき、だった。 …。 ーー ー 「だいじょうぶ?」 「ん、平気。」 「…そか。」 いつの間にか朝一番の会話として定着してしまったこの流れは、 5月になってもそのまま変わることがない。 朝起きると、蘭は僕に「だいじょうぶ?」と聞く。 夜ちゃんと眠れていないことを知っているのか、 それとも最近の生活全てについて「だいじょうぶ?」なのか、 定かでないのだけれどどちらにせよ、 僕は「大丈夫。」、そう答えるしかなくて。 日に日に重くなる身体に、気付いていないわけじゃない。 疲労感という重りがずっしりと、僕の全体に纏わり付いているのも自覚している。 それでも、僕を心配する一番の親友に、 「平気だよ。」と笑うのが唯一僕にできることだとおもう。 [次へ#] [戻る] |