ストック
8
高校に入っても、生活の基本的な部分は変わらなかった。
寮も中等部とそんな遠くない場所にあるし、二人部屋ってのも変わらない。
ただ、大きく変わったのは、"生徒会"制度。
中等部ではそんなに大きな影響力を持っていなかった生徒会。
でも高等部では、全然違った。
容姿、家柄、学力。
全てそろったような人たちが選ばれる生徒会は、アイドルみたい崇められて、まるで雲の上の人。
人気のある生徒には親衛隊というものが立ちあげられ、
不用意にその人に近付くと制裁という罰則。
学力も家柄も、この学校では普通くらいの僕にはまっっっったく関係ない話だったけれど、慶くんは違った。
そりゃああんなにいい人材、ほっとかれるわけがないとは思っていたけれど、
1年生から生徒会に入っちゃうなんて。一気に雲の上の存在になっちゃうなんて。
自分の友達が、…というか好きなひとがそうやって評価されるのはうれしいし、誇らしい。
だけどその半面、慶くんが遠いひとになっちゃうのは、哀しくて。さみしくて。
元々、中等部のときから人気はあったみたいだ。
告白も何度かされていたみたいだし。
全部、断ってたけど。
慶くんが告白されるたびに、僕はひやひやして、
断るたびに、いちいち安心する。
僕は気持ちを打ち明ける勇気はないし、
もし告白したとして、断られたらもう隣にいられなくなってしまう。
それがこわくて、ずるいけど、僕はこの気持ちをずっと隠しておこうって思ってて。
ちなみに、僕が知らなかっただけで、中等部でも人気のあるひとに近付くと排除されることはあったみたいだ。
だけど僕は、女の子みたいな容姿も手伝って、そんなに目の敵にされることはなかったらしい。
それを聞いて、
慶くんの隣にいることを許されるためにも、もっともっと可愛くなりたい、って思うようになった。
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