黒子のバスケ小説集(BL)
1
俺には好きな人がいる。
かわいくて、しっかりしてる人。
でもちょっとガサツなところもあって、そんなところがまたかわいい。
結構鈍感。
俺がめちゃくちゃアピールしてることにまったく気付いていない。
たまにイラつくこともあるけど、そこもかわいい。
そう。俺はそいつにゾッコンだ。あいつが手に入るなら、他には何もいらねぇ。
俺の好きなやつは……
「コウ! いつまで寝てやがんだ! 遅刻すっぞ?!」
「ん〜……無理ぃ……」
俺の親の、ユキだ。
「たくっ……」
俺がなかなか起きずにいると、ユキは部屋のカーテンを勢いよく開ける。
「うっわ……まぶい……」
俺は布団を頭の上までかぶる。
「おい! 起きろって!」
「……ユキうっさい」
「あぁ?! ……って、うわ!」
ギュッ……
俺は布団を退かし、ユキの腕を引っ張り抱きしめる。
「あんまうるさくするなら……その口、塞いじゃうよ?」
「はぁ?」
俺がグッと顔を近付けると、ユキは何されるかわかったのか体を強ばらせる。
うわー、顔真っ赤ー。
こういう反応されるから堪んないだよ、ユキ。
「やっ、やめっ……」
「キスさしてくれたら起きる」
「なっ何言って……つぅかもう目ぇ覚めてんだろ?!」
俺はジッとユキの目を見つめ、どんどん顔を近付けていく。
「なっ……お、おいっ……」
「何やってんだよ……」
その声を聞き、ユキは肩をビクッとさせる。
俺は顔を上げ、俺の部屋の前に突っ立ているヤツを睨む。
「見てわかんねぇの? ユキにキスしようとしてんだけど」
「はぁ?」
そいつは部屋の中に入り、無理矢理俺とユキを引き剥がして、ユキを抱き上げる。
そいつはすごみを利かせ、キレてるオーラを満々に放つ。
「何すんだよ……涼太」
「そんなこと……許すわけないじゃん! ゆきサンは俺のなんだから!」
涙目でこっちを睨んでくる男……こいつも俺の親だ。
「おまえのもんじゃねぇから、バーカ。つぅか珍しく早起きじゃん」
「ゆきサンの身の危機に寝てられるっかっつーの、アホ息子」
「おい、朝っぱらから喧嘩すんなよ。めんどくせぇ」
「わかったっス! ゆきサンがそう言うなら♪」
いっつもデレデレ鼻の下伸ばしやがって気持ち悪りぃ。
つぅーか、さっきまでのあのオーラはなんだよ。ギャップありすぎだろ。
ユキは何でこんなバカなヤツと結婚したんだ? とっとと離婚しちまえばいーのに。
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