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先輩が、俺のこと好きになってくれるずっと前から。
好きだったんだ、不器用だけど誰にでも本当は優しいところも、弱いところも、サッカーに打ち込む横顔も。
ずっとずっと、すげー好きで。


(でも、俺は、)


俺は、たいせつなものほどいつも、こわしてしまうから。
綺麗な形で、大切にできないから。
だから、先輩をうけいれることなんか、出来なかった。

この優しくて強い、弱い綺麗な人を、壊してしまいたく、なかったから。


「……もりした、?」
(嘘だよ、せんぱい)


ミキのこと好きだなんてうそだよ。
本当は、先輩がすきだよ。
本当は俺たち、ずっと、両想いだったんだよ。


(ああ言えば、先輩は絶対にミキに告白されても、ミキと付き合ったりしないと思った、)


アンタの想いを受け入れられない俺は、だけど、アンタと誰かの幸せを願えるほど、アンタみたいに、強くなくて。
アンタが誰かのものになんのが、死ぬほど嫌で。

だから俺は、アンタにあんな嘘を、つきつづけて。
優しいアンタはそんな汚い俺の嘘を、ただ真っ直ぐに、信じて。
(おれ、は、)


「松本せんぱい、」


なにひとつ、先輩のせいじゃない。
こんな関係にしかなれなかったのも、ミキが泣くのも、先輩が傷付くのも、ほんとはおれのせい。
先輩はただ優しくて綺麗だっただけで、俺がただ、弱かっただけ。


「馬鹿だね、先輩」


もっと早くに、俺のことなんて、嫌ってくれればよかったのに。
そうしたらきっと、ここまで傷付くことなんてなかったのに。
結局俺は、こわしたくないがために受け入れなかった人を、傷つけて。
こんなに、ボロボロにしてしまった。


「……もりした」


先輩の、俺を呼ぶ声は、酷くやさしくて。
ああ、まだ嫌わないでいてくれてるのかな、って思ったら、辛くなった(先輩の方が辛いのにね、)。
胸が詰まって、鼻がつんとして、目の奥が火傷したみたいに痛くて。
まるで泣いてるみたいに感じたのに、俺の目は、かわいたままだった。

だけど、みっともない顔でもしてんのかな(笑ってる、つもりなんだけど)。
先輩は、すごく驚いた顔をして、すぐに、辛そうにまた顔をゆがめた(ごめんね、おれが、そばにいるからだね、)。


「……ばかだよ、ほんと」


守りたかったはずなのに。
傷つけたくなかったはずなのに。
こうすれば、先輩は、最小限の傷ですむと思ったのに。

本当は、泣かせたく、なかったのに、なのに。


「……先輩、」


今更、好きだなんていえないよ。
今更、愛しいだなんて。
……ねえ、




「せん、ぱい、」




どうすればおれは、誰よりも愛しいと思えたアンタを、傷つけなくてすんだのかな。










(答えの見つからない問いかけ、)
(この想いを抱えたまま、どこまでも、あるいてく、?)






友人Rちゃそにささげました。
一回目読んだらよくわかんなかったけど、二回目で意味をわかってくれたらしい素晴らしいRちゃそ。あなたは神だいました!





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あきゅろす。
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