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終わった恋の忘れ方 01
突発ネタ。暗いです





テメェがあの日俺に手渡した、サヨナラの言葉が、今も。




「……、來」


微睡みの中で、誰かが俺を呼んでいる。
覚醒してねえ意識じゃ、それが誰なのかは識別出来ねえ。
一瞬浮上しかけた意識が、またゆっくり、沈んでく。


「おい、來、起きろ」


………五月蝿ェ。俺に声かけんな起こすな揺すんな、触んなクソッタレ。
誰だか知らねえがほっとけよ俺はまだ眠ィんだ。
心ん中で散々悪態ついてたら、軽快な音とともに、閉じてた世界に光が入り込んできやがった。
眩しさに意識は覚醒、苛々しながら、うっすらと、目を開ける。


「やっと起きたかよ、寝坊助」


その視界いっぱいに広がる、光と、金色の髪の男の顔。
(あーそういや昨日は、こいつと)


「ぐっ」
「……きたねー顔近付けてんじゃねえよ、気色悪ィ」


俺に覆い被さってやがった男の腹を一蹴りし、上から退かせた。
「わぶ!」奇声を上げベッドから落ちた男を鼻で笑って、俺はゆっくりと体を起こす。
ベッド脇のカーテンの開けられた窓の外には、見慣れた町の朝。


「ってェなてめーっ! 人が起こしてやったのに何だその態度はよ!!」
「五月蝿ェ……頼んだ覚えはねえ」
「……っと、かわいくねー野郎だな!」
「今更か?」


復活してギャーギャー喚く男は五月蝿い。
ベッドの上で窓枠に置いていた煙草を手にとる。
が、ライターがねえ。煙草をくわえて、男に手を伸ばした。


「おい。ライター」
「ったく……何様だてめーは」


ぼやきながらも投げ渡されたライターで、火をつける。
朝から野郎の顔拝みながら煙草を吸う趣味はねえから、俺は窓の外に目を移し、煙を吐いた。
美味くも不味くもねえ。これを吸うのは、ただの習慣みてえなもんだ。


「つかお前、体くらい隠せよ」
「今更だろ」


呆れたように言うヤツは上半身裸。俺は全裸。
ベッド脇には脱ぎ散らかした服と、ゴミ箱にはティッシュ。
昨夜行われた行為の跡が、生々しく残る。


「少しは恥じらえって……」


それに何の反応もしねえまま、もう一度煙を吸い込んで、口の中で転がし、ゆっくり吐き出した。ギシ、と軋む音に視線を移せば、男が俺に背を向けベッドに座っている。
そのまま差し出された、昨日飲んだビールの空き缶を受け取り、灰皿にした。



















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