[携帯モード] [URL送信]





トイレいって、手洗って、口濯いで、歯ぁ磨いて。
それから、ヨウのいるキッチンへ向かう。
ヨウは眠さの欠片もねえような顔で、テキパキ朝飯作ってた。
その姿は、上下ともスウェットだし寝癖もついたまんまなのに、妙にさまになってて大人びてて、おれはついドキっとする。
それがなんか悔しいから、わざわざ心ん中で言うんだ。


(………アメリカ行くまではおれより朝弱くて、料理なんかしたこともなかったくせに)


アメリカに行って、ヨウは変わった。
朝に強くなった。
料理出来るようになった(しかも美味い)。
英語がペラペラになった。
ヨウは、色々変わった。


「……お、来たか。そろそろ飯出来んぞ」
「……今朝はナニー?」
「めんどくせーからパンとベーコンエッグとサラダとスープ」


そのヨウが変わってく時間を、一緒に過ごして、変わってくヨウを見てらんなかったのが、すげー悔しい。
ずっとおれたちは、一緒にいたのに。


「……なー、次はいつ会えんだよー?」


子供じみた嫉妬を表に出さねーように、極力普段どおりに、椅子に座りながら、おれはヨウの背中に声をかけた。
ヨウは、おれを振り向きもせずに、笑って答える。


「ほとんど毎日会ってんだろ、こーやって」


……たしかにヨウが帰ってきてから、ヨウの実家におれが泊まりに行ったり、おれんち(実家じゃなくて)にヨウが泊まりにきたり。
お互いに都合が合う限り、一緒に過ごしてるけど。


「………足んねーんだもん」


ヨウには聞こえねえように呟いて、おれは小さくため息をついた。
女々しい奴だとか、思われたくなかった。



昔は、こんな欲張りじゃなかった。
会えるだけで嬉しかったし、二人でいるだけで幸せだった。
それが、ヨウが帰ってきてからは、リョウオモイになったせいか? どんどん、自分が欲張りになっていく。


最初の1ヶ月は、ヨウともっと話したくて。
2ヶ月経つと、ヨウにもっと触れたくて。
3ヶ月経った今は、こんなんじゃ足りなくて、もっともっと一緒にいたいって、思ってる。


……うわー……なんかすっげえうぜえな、おれ。
自分で自分にドン引きだわ。
























[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!