中学編
生徒会
『…眠い。帰りてぇ』
「今来たばっかだろ。早く生徒会室に行くぞ。昨日お前がサボったせいで、まだ少し残ってんだよ。さっさと終わらすぞ」
『了ー解』
俺達は靴を履き替え、生徒会室を目指す。肩にかけているカバンをかけ直し、両手をズボンのポケットに突っ込む。もうすっかり春だな。木から落ちる桜を窓から見ながらそう思っていると、いつの間にか生徒会室前についていた。
ドアを開けると一人の少女がソファーに座って何かを書いていた。彼女は生徒会書記の工藤春菜、二年生だ。
春菜は俺達に気付くとソファーから立ち「おはようごさいます」と微笑んだ。うん、癒される〜。これぞまさに天使の微笑みだ!とか思っていると、後ろから足蹴りされた。
『ぶへっ』
普段の俺なら耐えられたが、何の警戒もしていなかった今は前から倒れた。が、とっさに体をくねらせ、何とか顔面直撃は避けれた。仰向けで倒れたため、腰が痛い。起き上がろうとしたが腰が痛くて起き上がれない。
「会長!大丈夫ですか!?」
天井だけだった視界に春菜の心配そうな顔がうつる。春菜に頼んで肩を貸してもらい、奥の生徒会長専用イスに座る。
「本当に大丈夫ですか?」
『ああ、大丈夫だ。コーヒーを頼む』
「分かりました」
春菜は隣の部屋へ行き、俺は机の引き出しから黒縁メガネを取り出し、かけてから机の上にある紙を一枚手に取る。勿論伊達メガネだけどな。何かメガネかけてっと落ち着くというか何というか。
ざっと目を通すが、まだ地味に腰が痛い。チラッと、ソファーに座っている魁を見ると、当の本人は足を組み、何事もなかったように紅茶を飲んでいた。いちいち様になっていんのがムカつくな、このやろう。
もう一度紙に目を戻し、横に置いていた判子を押す。しばらく押していると、春菜がコーヒーを持ってきた。
「どうぞ」
『ああ、ありがとう。ところでアイツは?』
コーヒーを飲みながら春菜に聞くと、う〜んと言いながら首を傾げた。またその姿も可愛いなぁ。
「そろそろ来ると思うんですが…」
『チャイムがなる前に来なかったら仕事を追加してやる』
コーヒーを置き時計を見る。HR開始まであと2分。普通の生徒なら、もう教室に居るだろうが、生徒会役員は参加しなくてもいいようになっている。もちろん授業に出なくても構わない。生徒会は"特別"なのだ。だから妬む奴もいる。俺や魁は大丈夫だが、二人が心配だ。…何か、対策を考えておかないとな。
「あの、会長」
『ん?』
「遅れて来ても追加はほどほどにしてあげて下さいね」
『多分な』
学校の時計は秒針がないから腕時計を見る。残り10秒。9、8、7、6、5、4、3、2、1、
ガラッ!!
勢いよく入って来たのは、生徒会会計の宮坂宇宙。二年生で、サッカー部のエースだ。
「な、何とか間に合ったぁ…」
宇宙はよろよろとスポーツバックを机に置き、魁の反対側のソファーにもたれかかる。
「宇宙君大丈夫?お水持ってこようか?」
「頼む〜」
『で、宇宙は何で遅かったんだ?』
「サッカーの朝練で片付けをしてたら遅れました」
「次からは、もう少し早く来いよ」
「はい、すみません」
シュン…となって謝る宇宙。奥から水を持ってきた春菜がそれを見て小さく、捨てられた子犬みたいで可愛いと言った。本人には聞こえていなかったようだが。春菜は宇宙に水を渡し、宇宙と同じソファーに座った。
(それでは、今から会議を始める)
(………あ)
(どうしたの宇宙君)
(ヤッバ、部室に会計ノートを置いてきてしまった)
(あ゙あ゙ん)
(スミマセーン!!今すぐ取りに行ってきます!!)
(3分で戻ってこねぇと、仕事追加だ)
(それだけは嫌だぁぁぁー!!)
(…賑やかな奴らだな)
(大丈夫かなぁ?)
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