中学編
決定事項
「入るぜ」
『どーぞ』
ガチャと生徒会室のドアを開け入ってきたのは朝誘った青峰だった。
『そこのソファーに座ってろ。飲み物…コーヒーでいいか?』
「おう」
俺は椅子から立ち、隣の部屋へ向かう。食器棚からコーヒーカップを2つ取り出しポットで湯を沸かす。
『一応砂糖も用意しとくか』
俺はブラック派だからいらないけど青峰はどうかわからないしな。
『そういえば』
この棚に、春菜が作ったクッキーが置いてあったはず。クッキーを取り出して、来客用の皿に入れる。そして、2つのコップに湯を入れ青峰がいる部屋へ持っていく。砂糖も持って。
『淹れてきたぞ…って魁、戻ってたのか』
ほら、と言いながら青峰の前にコーヒーを置き、魁の隣にコーヒーを置いてから、もう一度隣の部屋へ向かう。でもその前に、
『魁、紅茶いるか?』
「今は別にいい」
『…そうか』
それだけを聞き、さっき用意したクッキーを取りに行く。てか魁の奴、めちゃくちゃ不機嫌だったな。青峰もちょっと顔ひきつってたし。
ふたたび部屋に戻って机の真ん中にクッキーの入った皿を置き、ソファーに腰掛ける。気まずい沈黙が流れる中、コーヒーの香りが部屋の中を漂う。
(つーか、この気まずい空気は間違いなく魁のせいだろうな。それに魁の前に座っている青峰はごまかすかのようにクッキーを食べてるし)
コーヒーを飲みながら横目で魁を見ると書類に目を通していた。
『…何でお前はさっきから不機嫌なんだ?』
「…見回りしてたら一年の女子に囲まれた」
『だからか。そりゃあ一年だから知らないか普通』
「知らないって何が?」
『コイツな媚びを売る女って大っ嫌いなんだよ。だからこんなに不機嫌な訳』
「へぇ」
はぁ…と魁は溜め息をつきながら青峰に睨むように目をやる。
「それはそうと、何でここにコイツがいる」
『あー…その事なんだが、まぁいろいろあってな、これからコイツの為に勉強会をすることにした』
「「はぁっ!!?」」
そんな叫びが生徒会室から響いたのだった。
(何勝手に決めてんだよ!)
(これは決定事項だ。それに生徒会長様が直々に教えてやるんだ。ありがたく思え)
(誰が思うかよ!…クソッ!誘いなんかにのるんじゃなかった)
(面倒事ばかり持ってきやがって)
(は、今更だろうが)
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