巡り会えたのは
彼女は…
日用品をつらつらと見ながら昨日初めて会った彼女の事を思い出す。
彼女、神崎美咲さんの第一印象は、ただ単に綺麗な人だった。
綺麗な黒い長い髪に黒曜石みたいな黒い瞳。色白な肌に整った顔立ち。手足も長くスラッとしていてスタイルもいい。モデルをしていても不思議じゃないくらいに。それに、身にまとっている空気が大人という事を感じさせる。
彼女はとても優しいと思う。一人暮らしで仕事もあって忙しいのに僕を預かってくれた。それに予定外だったであろう黄瀬君と青峰君の事も追い出す事はせずに全員預かった。
「なるべくお金は使わないようにした方がいいですね」
デパートで買い物をするためにお金を貰ったが、やはりこれは自分のお金ではないので、出来るだけ買うものは少量にしてカゴに必要なものを入れていく。
レジで会計を済ませ壁時計で確認する。集合時間まで少しある。先に集合場所に行って皆を待とう。そう思い足を進める。
集合場所には椅子にだらんと座っている青峰君がいた。
「早いですね」
僕も荷物を椅子に置き青峰君の隣に座る。
「んぁ?テツか」
瞑っていた目を薄く開け、一瞬だけこちらを見てから再び瞼を伏せていく。
「めんどいからさっさと買ってきたんだよ」
だるそうに彼は答える。僕も軽く椅子にもたれ肩の力を抜いた。
「青峰君」
「何だ」
目を閉じたまま答える彼に1つの質問を投げかけてみた。
「青峰君は神崎さんの事、どう思ってますか?」
ぴく…、と彼の眉が動いた。怒るかもしれないとも思ったが、彼は閉じていた瞼を開け目だけを動かし僕をみて、ゆっくりと口を開けた。
「気味のわりぃー女」
彼はそれだけを言うと、再び最初の体制に戻ってしまった。
何故彼はそう答えたのか、何かを感じているからだろうか。僕は二人が帰ってくるまでずっとその意味を考え続けたのだった―――…
(しかし、その意味を理解しないまま)
(この言葉を心の中に閉まった)
(僕にはまだ)
(わからないから――)
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