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暗号解読者(Robin×Zoro)

「なんて可哀想なメアリー・・・」
ぽつりと呟いた矢先、居眠りから目を覚ましたゾロが大きなあくびとともに怪訝そうな表情を向ける。
そして、ロビンが読んでいた本のタイトルを見て、また意味深にロビンを凝視した。
「何読んでんだ?」
「暗号解読の本よ。」
「暗号?」
「ええ。敵の手にメッセージが落ちないよう、暗号作成者がそのメッセージを暗号化するの。」
ロビンが読みかけのページを開いたままゾロに答える。
「―で、それがメアリーに繋がると?」
ますます額にしわをよせるゾロを見てロビンはクスッと笑った。
「そう。そのメアリーが生きた時代は、暗号が使われ始めた時代でもあったの。」
「へえ。」
「暗号作成者がいれば、暗号解読者も勿論存在する。けれど、強い暗号に心を許してしまえば、敵によって手を加えられても気づく事は難しいわ。」
「そんなめんどうなもの、なんでわざわざ・・・」
「それがとても秘密事項だからよ。だから、あらゆる場所にそのメッセージを隠して受信者に受け取らせた。現に、暗号化のレベルもすごく高くなってる。」

「そんな時代だからか―」
ぽつりと言ったゾロの言葉に、微笑する。
「―ええ。そのせいでメアリーは処刑されてしまったけれど。」

「へえ。暗号に頼るってのも、考えものだな。」
ゾロは刀を腰に入れ直し、また体勢を整え壁に寄りかかった。
そんな様子を見て、ロビンはパタンと本を閉じた。
「―そう?でも、知ってる?暗号は、貴族だけでなく、庶民にも使われていたの。」
「・・・つまりなんだ」

そう問い返したゾロに、悪戯そうな瞳を浮かべて密かに笑う。
「妻に、知られてはいけない―日記を書く際使われていたらしいわ。」
「へえ。」
まるで興味は無いと言っているかのように、ゾロはまた目を伏せた。

「もし、私が、暗号を作成するとしたら、誰が解読してくれるかしら?」
クスクス笑う。
「それは、誰にも知られたくねえメッセージなんだろ?」
「ええ。でも、必ずそれを受け取る受信者はいるわ。」
「誰に送るんだよ。」
「それは言えない。」
「ふん、くだらねえ。」

ゾロはもう寝るぞとばかり頭を腕で支える。

「でも、私の暗号は、届けたいと思う受信者には届かないかもしれない。」
「?」
ロビンが言った言葉は、まだ頭で理解しきれなかったが、ゾロはすでに居眠りをすると決め込んでしまった。

「なら俺が解読っての、手伝ってやろうか?」
目を臥せたゾロに、ロビンは微笑を浮かべ茫洋たる大海を眺めた。
「あら?誰にも言えないメッセージって言っているのに、かなり横暴な剣士さんね。」

ふふ、と笑うと、隣で気持ち良さげに寝息を立てる目映い人に目をやり、優しくながらも、自らも肩をあわせるように体重を預けた。

「好きって感情が止まらない。」
「・・・そのメッセージは、俺が受け取ってもいいのか?」
期待は大きく外れ隣で寝息を立てるロビンにちっと舌打をする。
「なんなんだ、この女。」

―調子が狂う。
俺の気持ちも知らずに・・・。

狸寝入りのように、薄く笑みを浮かべて、漆黒の暗闇から世は目を覚ます。


ロビンが挟んだページの上端に書いた暗号メッセージ
     J MPRF ZPV
あなたは分かりますか?


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