ルパンの恋人U
2
唇を重ね合わせる。友情が根拠のキス。
ルパンは、不用意に隙を与えないが、隙を与えているときは、大抵、キスを許してくれる。俺を甘えさせてくれる。
今日はいつもより、優しいな。
俺は、さりげなく、ゆっくりと押し倒していく。すると、驚いたことに、なされるがまま、素直に倒れてくれた。
お、いつもと違う。
シャツの裾から少しだけ手を入れる。直にルパンに触れてみる。
こんなことも、許してくれるなんて、何で?
俺は、ルパンの目を見た。唇を重ねたままで、ぶつかった視線は、心配げに問いかけてくる。何かあったかのか、と。
ヤッチン、お前、泣いてるぜ、と。
え、俺、泣いてる?え、何で?
いや、涙なんか出てないよ?
そっか、心の中で泣いてる俺の涙を、ルパンはちゃんと気がついてくれたんだ。俺の寂しさに気づいてる。だから、こんな甘えさせてくれるんだ。
…………ふ。
しめしめ。
このままこいつを俺のものにしてしまおう。
優しさを逆手に取って、不埒な考えを抱くのは、生き抜く知恵だ。毒を食らわば、皿の上のステーキまで。
俺は、ルパンのシャツをめくり上げる。
銭形に好いように貪りつくされているその体を、親友の俺にも、少しは分けてくれたっていいよね?
唇を離して、ルパンの体を眺める。
しなやかな筋肉の張り、なめらかな肌。ところどころに傷痕がある。地味を装うワルは、いろんな冒険をしでかしてきたから、傷の歴史もいろいろだ。
恋人に愛されているその体は、正視できないほど、艶めかしい。お前って、こんな色っぽかったっけ?
でも、変だな。何かない。何かが足らない。
こう、何か、楽しみなものが。
こう、何か、ふわふわしたものが。
ある動きをしている自分の手のひらに気づく。
もみもみ……?
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