ルパンの恋人U
12
たま、が、好き………?
はっきり聞き取れないが、ひょっとして、月火水木、の次のアレか?
○玉のことか?
すげ、ルパンって、意外に、ダイレクトに告白するんだな。
○玉が好きって、それ、おねだりか?
もっと、ちょうだいってか?
「かわいらしい…たま……が」
え?かわいらしい?
うぷぷ。
とっつァんの奴、かわいいって言われちゃってるよ?
自慢げにしてたけど、案外、貧相なんじゃねえの?
ふはは、俺、勝ってるんじゃね?
俺のは、かわいらしくないもんね。凶暴だもんね。
「立派な…たま……が」
え?立派?
かわいらしいのに、立派って、どゆこと?
子ども店長みたいな感じか?
とっつァん、子ども店長を二人、体の真ん中にぶら下げて歩いているのか?
「太陽のような…たま…が」
太陽とな!?
まさか、燃え盛っている?
運動会か?
運動会の目玉、代表リレーに闘志を燃やしている、双子の子ども店長か?
今まさに、ラインに立って、走ってくる味方からのバトンを待ってるところか?
「光り輝く…たま…が」
後光が差した!!!
双子の子ども店長、アンカーで5人ごぼう抜きにして、同時に首位を取りやがった!
感動的引き分け!
スタンディングオベーション、拍手喝采、熱狂の渦だよ!紙吹雪だよ!
おじいちゃんもおばあちゃんも、冥土の土産に涙流して大喜びだよ!
「その、たま…しーが。たましいが好きです…」
…………シー?
…………C?
…………SHE?
四ーーーーー!?
子ども店長、四つ子ーーーーーーー!?
その時、俺の頭にある光景が浮かんだ。
鳥のさえずりが聞こえる、春の野原。幼い声がかわいらしく弾んでいるお弁当タイム。
ヤッチン「ねーねー、俺のソーセージ、すごいでしょ?チョココロ、じゃなくて、マミーが、遠足だから大きいのを入れてくれたんだ」
ルパ子「わー、よかったねー」
銭ちゃん「俺のソーセージ、特大サイズ」
ヤッチン「!!!」
銭ちゃん「……(にんまり)」
ヤッチン「で、で、でもさ、マミー、ミートボールも入れてくれてんだぜ、二個も」
ルパ子「わー、よかったねー」
銭ちゃん「俺のミートボール四個」
ヤッチン「!!!!!!」
銭ちゃん「……(にんまり×2)」
畜生。
負けた。俺、勝てない。
ビックリ人間には、勝てる気しない。
怒りは、冷めてくる。
我を取り戻した俺には、意識を失った親友を手篭めにする勇気はなかった。
親友を襲おうと思った自分が、ちょっとハズい。どうせ、俺にやすやすと襲われるようなルパンじゃないけど。
ルパンは、体の向きを変えて、寝息を立て始めた。
ホント、何されてんだよ、こいつは。ビックリ人間にビックリなことされやがって。
いろいろされすぎだよね。
そこまで、好きなのか、銭形が。そこまで自由にされても、いいくらい惚れているのか。クールで、凍ったナイフのようなお前が、恋に狂うなんてさ。
好きな奴とするのって、そんなに良いのかな。
心底好きな相手とそういうことするのって、どんな感じなんだろう。
ちょっとは、俺にもその感じ、教えてくれたっていいでしょ、ルパン…………?
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