ルパンの恋人
3
モテないはずのルパンは、驚くことに、キスを知っていた。いや、予想通り、というべきか。
最近、こいつには、妙な色気がある。大人の雰囲気を醸し出している。
確かに俺たちゃ、成人式も済ませたけど、まだまだ、ガキじゃん?
特にお前、超奥手のはずじゃん?
キスまで許してくれるとは、甘い親友だな。
キスには応じているが、背中に腕を回してくるようなことはない。それをされたら、さすがにキモい。
少し深めに口づける。
舌を絡めると、僅かに体をくねらせた。
あれ?
こいつ、モテなかったはずなのに、とんでもねえことになってるぜ。
ちょっとキスしただけで、これかよ。
かなり、相手に、いじられてるな。
俺は、唇を離し、囁いた。
「その女、よほど、イイみたいじゃん?」
親友が、俺の知らない間に大人になってるなんて、ちょっぴり悔しいぜ。
いや、俺も、お前に無断で、大人になってるけどさ。大人になりまくってるけどさ。
「お前、失恋しただろ。俺に腹イセか?」
おっと、見抜かれていたか。
「うん、そう」
再び、唇を重ねる。
はあ、空しい。男とのキスは、空しいぜ。いくら、こいつが好きでも。
俺、失恋したんだから、いつもより、甘えてもいいだろ?
耳たぶに触れると、びくっと背中が跳ねた。
こいつ、やらしいな。
さんざん、体をいじられまくってるだろ。相手は、どんな女だ?
多分、年上だな。
脇腹を肘で擦ってみる。
お、いい反応。
こいつ、経験豊富な年増に、かなり仕込まれてるな。
年上に可愛がられてみるのもよさそうだ。たとえば、こいつのママン、とか。
ママン、早く帰って来ないかな。
つうか、こいつ、どんだけいろいろやられてるんだよ。
反応がエロすぎる。
お前、女に、やらしいことされすぎだろ。随分な体になってるな。
もはや、怪盗は、体の隅々まで、解凍済みってことか。
不二子ちゃんの手によって。
あの女、見かけどおり、かなりのテクニシャンだな。つか、どこの不二子ちゃん?
げ、俺、やばい、変な気起きそう。
慌てて、唇を外すと、濡れた目に睨まれて、ゾクッとする。
………俺、こいつで、イけるかも。
いっちょ、試してみるか。
もう一度キスしようとして、手のひらで顔面を押し返された。
痛えッ。
鼻、超痛えッ。
今、殺る気出しただろ。
「しつけーぞ。話聞くから、飯食おうぜ」
ちッ。
好きな親友を、どっかの不二子に、奪われちゃいましたとさ。
ウブだった親友を、いつのまにか、エロ仕様に改造されていましたとさ。
畜生。ルパンのハートを盗んだのは、どこの不二子だ?
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