証―彼は僕のものになる キス以上が、来た! 「んん、ちょっと、んふッ」 僕は、秀麿を押し返した。 勉強は、毎晩、進んでいる。秀麿のお陰で、僕は、最近のテストで、成績がトップだった。これには、僕だけでなく、周囲も驚いている。だが、相変わらず、学校では、友だちなどいないし、誰も話し掛けてこない。成績が上がったくらいでは、僕のマイナス波は消えない。 秀麿との勉強が終わるたびに、キスされるのが習慣になっている。キスは、少しずつ、濃厚なものになっていく。 そして、今日は、いつもに増して、秀麿は、しつこかった。 毎度のことに、僕も慣れてきて、されるがままに、じっとしていると、唇にいつもと違う感触がある。 あれ、何か、入ってくる。 唇に、濡れたものを感じて、僕は、体を硬くした。秀麿の舌が、僕の唇を分け入ってくる。 「んんッ」 押し返しても、秀麿は、僕の頭を抑え込んで、容易に離れない。 何か、おかしなことになっている。これって、やばくね? 秀麿の筋肉を着衣越しに感じる。鍛えられた腕で、僕を、がっちりと拘束している。 どうしよう。今日は、何か違う。 秀麿は、僕を立ち上がらせると、唇をふさいだまま、ベッドの方に連れていく。 え、これ、どうなるの? 秀麿は、僕をベッドに座らせ、そのまま、押し倒した。唇を離して、上から見下ろす。 うわ、どういうこと? 「ちょ、ちょっと、待って。これって、おかしくないか?」 「ああ、おかしい。おかしいに決まってる。お前のせいだ。俺だって、お前相手に、こんなことしたくねぇよ」 秀麿は、無表情のまま、もう一度、唇を重ね合わせてきた。 うわッ。 うわあ。 うわあああ。 秀麿の舌が、優しく唇を舐めている。そっと中に入ってくる。 キスって、こんなに。 こんなにくすぐったいものだったのか。これは、くすぐったいというより……。 あああ、何かダメになりそうだ。何か、ダメになりそうなくらい力が抜ける。 はあああ……。 これ以上は、いけないと思いながら、体中の力が抜けて、抵抗することができない。 秀麿の手が、衣服の下に入ってきた。肌に直接あたる手は、熱い。熱い手が、脇の下をなぞる。 うわおッ。 僕は、自分の体がビクンと飛び跳ねるのを自覚した。 「お前、ここ、感じるんだ」 唇をわずかに離して、秀麿が囁く。 違う。くすぐったいだけだ。感じる、とか、そんなのあるはずないだろ。 「いい加減に、やめろよ」 「俺だってやりたかねぇよ」 言葉とは裏腹に、秀麿は、いろんなところに触れてくる。胸や脇を触りながら、僕の反応を見ている。的確に、弱点を探り当てていく。 熱い手で、胸やら腋やらを撫でられるうちに、おかしな感覚が起きてくる。 もう、それ以上触られると、僕は。僕の体は。 「んあッやめろって」 僕は、自分の体が、何度も飛び跳ねるのを止められなかった。 自分でも、恥ずかしい高まりが沸き起こってくることに気づいく。 いやだ、秀麿に、気づかれたくない。こんなの恥ずかしすぎる。 だが、彼が見逃すはずがなかった。 「お前、勃ってんぞ」 秀麿は、言うと同時に、僕のジャージをずり下げた。 やめてェェェ。 そこには、さほど立派でもない、僕のアレが、精いっぱいに、屹立していた。 「やめろよ」 もう、泣きたくなった。 これは、いじめだよね。いじめ以外の何ものでもないよね。やっぱ、僕、死んでいい? 秀麿の顔は、無表情で、何を考えているのか、わからない。 こんなのって、ありかよ。 僕はやりきれず、目を伏せた。 「お前、エロいな」 秀麿の声は、掠れている。 熱い手が、僕の肌をなぞり、僕の体はそれに合わせて跳ね上がり、僕自身の大事なものは、びくびく震える。 「エロいな。ホント、エロい」 秀麿は、繰り返して言った。 その低くかすれた声が、僕には、恐ろしくて、不安で、惨めで、そして、哀しいことに、興奮させる。 だめだ、やっちゃいそうだ。 秀麿は、必死で我慢する僕のものに手を伸ばした。 だめだ。 出ちゃう。 「……ッ」 僕は、自分の腹の上に、僕自身のものを吐き出していた。 あまりのショックで、呆然とするしかなかった。 秀麿が、優しく頭を撫でてきたことなど、気づきもしなかった。 [次へ#] [戻る] |