証―彼は僕のものになる
崩壊
頭痛がして目眩がして吐き気がして耳鳴りがする。もう長いこと、白と黒と、そして、白から黒にいたるまでの曖昧な色しか見えてない。
世界は鋭角を失って、きれいだったものも、好きだったものも、色褪せている。球体の安定した形状が、急におぞましく見え、バスケットボールを投げ捨てていた。
「主将ッ?」
後ろからの呼ぶ声を無視して、体育館を出た。外廊下を這う蟻を踏み潰しながら、更衣室に向かった。だんだん、俺は、壊れていく。残暑の異常な灼熱のためでなく。
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