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証―彼は僕のものになる
彼は僕のものになる
「ヒデ。僕は、ヒデと本当の友だちになりたかった、な……何もかもに恵まれたヒデと友だちになりたかった。ヒデが好きだ」

僕は、彼の顔を見上げながら、その頬に両手を伸ばした。

そうだ。これが、はじめて会ったときから変わらない、僕の気持ち。

でも、友だちになんかなれるはずがないと、ずっと、現実を拒否していたのは僕。

だから、いつでも、逃げていた。そして、いつでも、逃げなかった。ただ、なされるがままだった。

彼と僕との虚構の友だち関係が、終わろうとするときになってようやく、出会ってからの秀麿の行為は、すべて優しさに満ちていたことを噛み締める。

「恵まれているのは、お前だろ」

腹の上に、生温かいものが広がる。僕は、達してしまっていた。

腹の上で、僕が出したものが垂れていく。僕は、秀麿と僕が繋がった部分に、それを塗りつけた。

乱暴な凶打は、次第に滑らかになっていく。

痛みではない感覚が、痛みの波をかいくぐって、姿を現す。

その感覚は、雪が降り積もるように、静かに体内に増していく。

はじめての感覚じゃない。今まで、何度も秀麿に与えられた感覚。その果てにあったもの。

彼が、いつだって、僕に優しく触れてきたことを、僕の体が何より知っている。

僕のものは、再び、高まる。

彼はいつも与えてきただけだった。

住む場所を与えてくれた。身の回りのものも与えてくれた。勉強も教えてくれた。ニッコリ笑いかけてくれた。

キスやそれ以上の触れ合いさえも。

彼は与えてきただけだった。

僕に対する侮蔑も嫌悪も憎悪も、彼の紛れない本心だとしても、彼の僕への優しさも、また、真実、存在する。

大きな律動が、体の中で、沸き起こる。

好きだ。ヒデ。

友だちとして、そして、友だちを超えて、ヒデが好きだ。

僕は、僕の中で、何度も何度も、彼のものを抱きしめている。彼を締め付け、彼を僕のものにしている。

僕を見下ろす目が、とても暗く光っている。暗すぎて、吸いこまれそうだ。

僕は、暗い闇の目を忘れない。

その闇の美しさを、絶対に忘れない。

「ヒデ……。好きだ。そのまま、出して。ヒデ、好きだ」

僕の内部に、秀麿が、移ってくる。秀麿が、僕の体に浸透する。

僕は、もう、彼を喪失し得ない。彼の姿が僕の目の前から消えても、僕の中に彼はいる。

秀麿の温かさを、体の奥深いところで、感じる。彼の温かさが、体中に沁みていく。

心の中に、輝石となって積もっていく。

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あきゅろす。
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