私がマリアン!
01
今まで、18年間。
家事を親に任せていたことに、
本気で後悔した。
「マリア!ロビーのお掃除終わった?」
「い、いえ。まだ」
「急いでね。まだお洗濯もあるんだから」
「はい。すみません…」
私は菷を握りしめてため息をついた。
何故この屋敷には掃除機がない!
食器洗い機がない!
洗濯機、乾燥機がなーい!!!
科学は発達してるんだよ?そりゃエコとか最近話題だけどさ、楽できることは楽してもいいと思う。
今時はたきとか無いでしょ!マジで!
「はあ…」
洗い物で手荒れはするし、庭の掃除で指は切るし、散々だ。
私、これでも青春真っ盛りの女子高生なんだけどなー…。
でも青春を盛る相手もいないし……。
カチャリ。開いた扉と、入ってきた人間。
すかさずメイド達は深く頭を下げる。
「「「お帰りなさいませ。リオン様」」」
「お帰りなさいませ」
私も慌てて頭を下げる。
リオンはああ、とだけ言って、なんとなくロビーを見渡した。
「……おい」
「はい。なんでございましょう」
「ロビーの掃除をしたのは誰だ」
ぎくり。背筋が凍った。
「………私です」
一歩前に出ると、リオンはあからさまに眉をひそめた。
額に手をあて、ため息をついてから言う。
「……せめて調度品くらいは磨いておけ」
「申し訳ございません。すぐに取りかかります」
リオンはそのままこちらを見もせずに出て行った。
リオンがいなくなると、メイドの一人が私に詰め寄った。
「マリア!あんたお坊っちゃまと何があったの!?」
「何が……って」
「だって、この前までお坊っちゃまったら、あんたを大層お気に入りだったじゃない!」
……へー。知らなかった。
そういえば、まだ私がメイドさん―恐らくマリアンさんだと思っていたリオンは、柔らかくて、優しい目だった。
「それより、掃除しなきゃ!」
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