Tails of Sister! 02 「……から、帰れっての」 「いーじゃん。ユーリ君の家結構デかいねー」 あれ?声が二つする。 「ユーリ。お客さん?」 「あぁ、ただいま」 ひょこっと顔を出して、ユーリにお帰り、と返してから、ユーリの隣に立つ人を見た。 流れるような赤髪に、端正な顔つき。 …なーんか、どっかで見たことあるような…。 その人は、私を見ると、素早く私の隣に回り手を取った。 「初めまして、ハニー。ユーリ君の妹がこんな可愛いなんて、俺様びっくりしちゃったなー」 「ゼロス!妹から離れろ!」 「…ゼロス……?」 私は、思い出し、あ、と呟いた。 「あ、あの俳優の…ゼロス・ワイルダー…?」 「妹ちゃんが俺様のこと知ってたなんて、俺様光栄だなーっ!」 「う、うそだ…」 口をパクパクさせる私に、ユーリがため息を吐いた。 「今度の撮影、こいつの代役なんだよ」 「いやー。俺様って何でも出来ちゃうからいらないって言ったんだけどさー。万が一、俺様の顔が傷ついちゃったりしたら大変だからって、ユーリ君が雇われたのよ。んで、初めてユーリ君に対面したんだけど、何か現場で『ユーリ君の妹が可愛くていい娘だ』って有名なもんだから、見に来たらこんな可愛い娘だったとは!聞いてたのよりずっと小せぇし、可愛いねぇ!ねぇ、俺様と付き合わない?」 「さりげなく口説くな」 ユーリの蹴りがゼロスを捉えた、が、ゼロスは身軽な動きですぐにかわした。 ユーリはさほど気にせず、私に向かってこう言った。 「妹。何か甘いもん」 「はいはい。あ、ゼロスさんもよかったら如何ですか?今日、八百屋さんで安くメロンを頂いたので、フルーツケーキを作ってみたんです」 一応聞いて見ると、ゼロスさんはまた笑んだ。 「マジ!?俺様メロン大好物なんだわ!妹ちゃんのケーキが食べられるなんて俺様幸せ!」 「そんな…大した物じゃありませんよ」 それにしても、よく喋る人だなー…。 一人称俺様の人初めて見た。 [*前へ][次へ#] [戻る] |