02 「鳴時雨!」 列車の中には、まだアルクノアが残っていた。 「先頭車両までの道の敵は全部潰してきたよね?」 「もしかすると増援が来たのかも…」 ジュードの言葉に、思わずため息をつく。 「ニャー」 足元に、ルルがすり寄ってきた。 「ルル」 「その子、ロベリアのネコだったの?」 「ええ。家で飼ってるの」 「あの子のお供だと思ってた」 ジュードと一緒にエルを見る。 エルは手を握って、固く目を瞑って呟いていた。 「こわくない…こわくない…」 「エル…」 「ね、ロベリア。エルって一人なのかな?」 「そうね。駅で会ったときも一人だったわ。私たちが見ててあげないと…」 「っエル、一人でも平気だもん!」 強く言われ、睨まれる。 どうしてこんなに嫌われてるんだろう。 「ロベリアのあの姿見て、怖がってるみたいだね」 「…私、そんなに怖かった?」 助けを求めてジュードを見る。 「え!?あ、僕はその…どっちかっていうと…」 何故か少し赤くなりジュードが言う。 「き、綺麗だったと…思うよ…」 「綺麗かぁ…」 どんな姿だったのかな? ジュードが咳払いをした。 「それにしても、あの姿…」 「なんか悪い人っぽかった!」 「わ、悪い人って…」 「ううん。あれは精霊の力のような気がするんだ」 ジュードの言葉に、エルと二人で首をかしげる。 「セーレー?」 「人と自然を繋ぐ、不思議な存在だよ。エレンピオスでは珍しいけど、僕の故郷のリーゼ・マクシアには、たくさんいるんだ」 「私は精霊の力を借りた…ってこと?」 「どうだろう」 ジュードはまた悩むポーズで言った。 「リーゼ・マクシアでは精霊術は普及しているけど、エレンピオスでは使える人は全然いないって聞いたよ?」 「そう、よね…」 エルが青ざめて呟く。 「あんな怖いのが…たくさん…」 「精霊は強い力を持っているけど、人間の敵じゃないよ」 ジュードは微笑んで、エルに目線を合わせる。 「それにね、エル。ロベリアは怖い人でも悪い人でもないよ」 ジュード…! ジュードはルルを撫でる。 「この子の飼い主だし」 「…そうなの?」 「ナァ…?」 エルがルルに真剣に聞くが、ルルは首をかしげる。 「ルルー…」 「はは…」 [*前へ][次へ#] |