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美食日記
05


まったく!アーサーってあんなうざかったっけ!?

うーん…あれ?わりと昔からああだったか…。


「はあ…」

「何ため息ついてるある」

「んむっ」


いきなり耀さんに飴を食べさせられた。というか口にねじこまれた。


「ふあー。おいひい」

「そのアホ面がお似合いある」


相変わらず酷い。でも飴が美味しいから気にしない。


「湾ちゃんのお見舞い何にしましょうか」

「気にしなくてもいいある。どうせ微熱あるよ」

「そんなわけには行きませんよ…お菓子とお菓子とお菓子と…」

「風邪あるよ。お前の病気とは別物ある」

「酷い!」


何か湾ちゃんっぽいもの…。


「あ!」


雑貨屋さんの前で立ち止まる。


「耀さん!ぬいぐるみとかどうですか」

「お前、食べ物屋以外にも店知ってたあるか!」

「失敬な!入ったことありませんよこんな可愛い店」


自信を持って言うと、ため息つかれた。

私もちょっと緊張する。でも耀さんは何故か可愛い雑貨屋さんに溶け込んでいた。


「名前!名前!」

「なんですか?」

「これ!可愛いある!」


耀さんが凄くいい笑顔で象のぬいぐるみを指す。

え…。それ可愛いですか?


「アイヤー!名前!キリンさんもいるある!可愛いあるね〜」

「その年でキリンさんとか言わないでください」


可愛いものが好きなのか…ちょっと意外。


「全部買うある!」

「一個で!お願いします!」

「えー…じゃあ、ペンギンさんある」

「だからさん付け止めてください」


耀さんが選んだピンクのペンギンを買って、店を出る。

確かにおっとりした湾ちゃんにはぴったりかも。

耀さんを見れば、まだ店の中でゴソゴソしている。どんだけ気に入ったんだあんた。

じゃあ私も何か食べようかな、と周囲を見回すと、向かい側に輸入品店があった。

店頭に並べられた紅茶に、さっきのアーサーを思い出す。




『だ、大嫌い…』




相当ショック受けてたなー。


「…ちょっとばかり酷いことをしたかもしれない」


後でアルと一緒に遊びに行こうかな。面倒臭いけど。


「名前!」


笑顔で耀さんが出てきた。

紙袋を抱えている。


「え、湾ちゃんのもう買っ…」

「やるある」

「…え?」


耀さんが私に紙袋を押しつけた。

私に、くれる?なんで?


「…礼を、」


耀さんを見ると、そっぽを向いて口を尖らせていた。


「言ってなかたあるからな。この間の」

「えーと…」

「菊を連れてきてくれて、感謝してるある」


そう言って、耀さんははにかんだ。


…お?おお?


「なんか…お腹痛い…」

「ぜってー食べ過ぎある」

「そんな馬鹿な…あいててて」


なんか、腹痛っぽくない。

お腹の奥握り潰されてるみたい。


「お前今日はもう帰るある。送ってってやるから」

「そ、ですね…あたた」


顔を上げる度、痛みが強くなる。こんなの初めてだぞ。何の病気だ。









結局、耀さんと一緒に家に帰る間その腹痛らしきものは続き、耀さんと別れ家に入るとピタッと止んだ。


まさか…アーサーの呪い!?


「絶対もう謝ってやんない!」


やっぱり大嫌いだ!






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あきゅろす。
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