美食日記
02
「ここが屋上なんだぜ!」
屋上に着くと、くるんの人は嬉しそうに走り回っていた。
私が座ってパンを食べ始めようとすると、後ろからタックルしてきた。
おい今げふぅって言ったよ、私!夢小説の主人公なのに!
「案内してくれてありがとうなんだぜ!」
「じゃあお礼に君の弁当をくれないかい?」
「なんでそうなるんだぜ?まぁいいんだぜ」
くるんの人は大きめの弁当箱を無造作に開く。
そこには中華風に鮮やかに彩られたおかず達が並んでいた。
「いただきます」
手を合わせ、箸を構える。
まずはこの餃子からいただきだぜ!
私は餃子を口に含む。
私の身体を、衝撃が駆け抜けた。
「どうなんだぜ!?」
乗り出して聞いてくるくるんの人に答える余裕など無い。
今はこの餃子に応えるのが精一杯だ。
噛んだ途端にジュワッと染み出る肉汁。
中のニラはシャキシャキなのに、皮は見事にパリッと焼けている。
あぁ…!なんなんだこの気持ち!
未だかつて私をこんな気持ちにさせた料理があっただろうか!
否!
私は私の周りをうろちょろするくるんの人の肩を掴んで言った。
「ねぇ……」
友達になって!
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