美食日記 02 次の日。 昼休みにお弁当を持って屋上に行くと、ヨンス君が私を見つけて走ってきた。 「名前!」 「やあヨンス君。絶品中華をいただきに参上した」 「それだけのためなんだぜ!?」 「他に何が?」 ヨンス君の目を見て言うと落ち込んでいた。 首をかしげながらヨンス君の綺麗に包まれたお弁当を私のお弁当と取り替える。 包みを開けると、今日も色鮮やかな料理が私を迎え入れた。 手を合わせ、ゆっくりと食していく。 あぁ…っ!この噛む度に染み出る肉汁のなんて味わい深いこと!昨日は急いでかきこんだからわからなかったけど、やはり味わって食べるのはいいものだ。 「…お前、女子のクセによくそんなに食えるんだぜ」 ヨンス君が私を見て呆れていたが、私の心は今このお弁当に向けられている。 食べ終わり、惚然とため息をつく。 「ごちそうさまでした。はぁ。美味しかったぁ」 「モグモグ名前のモグモグ料理モグモグもモグモグ美味いんだぜ!モグモグ」 ヨンス君は私の弁当をかきこみながら喋る。 「これ。ご飯は行儀よくいただきなさい」 「ふぅ。ごちそうさまなんだぜ!」 「はい。お粗末」 私がヨンス君から空の弁当箱を受け取る。 「それにしても、ヨンス君って見かけによらず料理得意なんだね」 「見かけによらずは余計なんだぜ!因みに俺は食べる専門なんだぜ!」 「またまたぁ。こんな美味しい中華を持ってきといて…」 「あ、それは兄貴が作ったんだぜ」 「兄…貴?」 「俺の兄貴は滅茶苦茶料理上手なんだぜ!」 私がふくろうのようにほうほう言っていると、ヨンス君が「思い出したんだぜー」と呟いた。 「何が?」 「昨日名前の話をしたら、兄貴がいつか晩飯に連れて来いって言ってたんだぜ!」 「マジか!!」 夜ご飯もあの美味しい中華をいただける…。 「ヨンス君!ぜひとも私を」 君の家に連れてって! 「という訳でアル。また今度ケーキ屋行こうね」 「Noooooo!!」 [*前へ] |