美食日記
01
「ヨンス君っていうのかー。私は名字名前です。よろしくー」
「よろしくなんだぜ!」
ヨンス君は笑顔で友達になってくれた。
「俺最近引っ越して来たから友達いないんだぜ!名前がこの学校で初めての友達なんだぜ!」
「転校生か。だから屋上の場所知らなかったんだ」
「前の学校は屋上がなかったんだぜー!!」
再び楽しそうに走り回るヨンス君。
「それにしても、ヨンス君のお弁当は美味しいねぇ」
私はうっとりと空を見上げる。
さっきの味を思い出すと笑みが止まらない。おっとヨダレが。
「だからって俺の弁当全部食っちゃうなんて酷いんだぜ!」
私は思わず視線を逸らした。
ヨンス君に掴みかかった後、気付けば彼の弁当を平らげてしまっていた。
焼きそばパンをあげると少し嬉しそうにしていたが、やはりダメか。
「すまん。食い物の恨みは恐ろしいよね」
「すまんじゃすまないんだぜ!」
何故かヨンス君が手をわきわきさせている。
うん?何か嫌な予感。
「ヨンス君?君はいったい何をしようとしてるのかな?」
「俺の弁当食ったかわりに、おっぱい触らせるんだぜ!」
「ちょっ…。発情期か」
「おっぱいマンセー!」
「ぎゃあああ!!」
「名前ー!」
私が貞操の危機を感じたとき、ドカッと少々乱暴に屋上の扉を開けた人物がいた。
「君また屋上にいたのかーい?まったく、君は本当にここが好きだな!まぁ何とかと煙は高いところが好きって日本の諺で言うもんな!HAHAHA!」
入ってくるなりマシンガントークをとばしたのは、私の幼なじみアルフレッド。
たまーにふらりとやってきて弁当を一緒に食べる。
奴の弁当はだいたいマ○クなので、不憫に思い時々食べ物を分けてあげている。
「アルー。残念だが私はもう絶品中華を頂いてしまってあと今日は焼きそばパンでご飯はないんだよー」
「何だよ、俺いつも楽しみにしてるんだぞ!」
私に近づいて、まるで気付かないとでもいうようにヨンス君を突き飛ばしたアルは唇を突き出した。
「まぁまぁ。なんか新しいケーキ屋さんが出来たらしいから放課後にでも一緒に行こうよ」
「BOOOOO!君そうやってまた俺に奢らせようとしてるだろ?」
「あ、バレた」
そんなやり取りをしていると、突き飛ばされたヨンス君がヨロヨロと立ち上がった。
「あ、ヨンス君」
「知り合いかい?」
「うん。今友達になった」
「あ、君転校生じゃないか!やあ、俺は生徒会長のアルフレッド・F・ジョーンズだ!何か困ったことがあったらいつでも俺を呼んでくれ!なんたって俺はヒーローだからね!」
ヨンス君の肩をバシバシ叩きながらまた一人で喋るアル。
「そういえば君たち、さっき何しようとしてたんだい?」
アルが振り返った。
「知らない」
「まぁいいけどね!じゃあ名前!また放課後なんだぞ!」
「あ、アルー!私今日は無理ー!」
「Noooooo!!」
なんかヨンス君がちょっと泣きそうだった。
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