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美食日記
02


「名前さん!」

「うわぁ〜、名前、久しぶり〜。あ、あと可愛い女の子はじめまして〜」


トレイを持った湾ちゃんとヨンスくん、そしてロヴィーノさんとフェリシアーノさんが歩いてきた。


「わ、こんにちは!」

「あ、アルフレッドもいたんだぜ…?」

「…やあ」


アルがムッとしてヨンスくんたちを睨む。ヨンスくんは今にも泣きそうになっている。


「偶然だな!ここ、いいか?」

「はい。どうぞ」

「えっ」


アルが非難の目を向けてきた。

あ、あれ?ダメだった?ごめん。

と視線で送ると、また暗い表情で視線を逸らした。


「俺名前の隣!」

「あっ、てめ、ずりぃぞ!」

「ちょっとヨンスー!」


ヨンスくんが私の隣に座り、湾ちゃんがその隣に、ロヴィーノさんとフェリシアーノさんがその隣に座る。


「湾ちゃんもう風邪いいの?」

「あ、はい。おかげさまでー」


湾ちゃんがにっこり笑う。


「師匠とのデート、楽しかったですか?」

「「「デート?」」」


アルとロヴィーノさんと私の声が被る。


「耀さんとの食べ歩きのことか」

「耀だと!?あのチャイナ野郎、いい歳して調子こきやがって…!」

「兄貴ばっかりずるいんだぜ。俺も名前とデートしたいんだぜ!」

「だからデートじゃないんだけど」

「名前さん最近師匠とばっかり喋ってて、ちょっと羨ましいんです!」

「…そうだっけ?」

「そうなんだぜ!名前、ポテトもらうんだぜ」

「お。俺も」


唐突にヨンスくんとロヴィーノさんが私のポテトを取った。


「あーっ!!?何するのヨンスくん!!ロヴィーノさんまで!?」


私が大声を出すと二人の体が震え、二人して涙目になった。


「なっ、なんでそんな怒るんだよ!?」

「あーもー、兄ちゃんってば食い意地張ってるんだから〜」

「ヨンス!?名前さんの食べ物に手を出すなんて馬鹿だよー!」

「ええっ、だってアルフレッドはさっきから黙って食べてるんだぜ!」

「それはカリカリポテトでしょ!?私のしなしなポテトはただでさえ少ないのに…っ馬鹿ぁ!」

「お。気が合うな、名前」

「あ、俺もしなしなの方が好きなんだぜ!一緒なんだぜ!というわけで今度俺ともデートして欲しいんだぜ」

「何言ってんだ!名前は俺とデートするんだよ!」

「えー!?名前の起源は俺だから俺とするんだぜ!」

「俺だ!」

「俺だぜ!」

「俺だ!」

「俺だぜ!」


「「俺だ!」」


ガタッ


「―ぜ…」


大きな音をたてて、アルが立ち上がった。


さっきまでの喧騒が嘘のように静まりかえる。


「…悪いけど、俺と名前は二人で帰るから」


やたら『二人』の部分を強調して、アルは私の手を掴んでそのまま店を出た。






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あきゅろす。
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