美食日記 01 「名前!今日こそは付き合ってもらうんだぞ!」 放課後、アルに無理矢理腕を引かれ、馴染みのケーキ屋へと向かった。 可愛らしい装いの店内に入ると、パタパタと足音がして、ふわふわの髪を揺らしてマシューが走ってきた。 「あ!アル、名前!」 「久しぶり、マシュー!」 「久しぶりって何だよ〜。僕たちいつも学校で会ってるじゃないか〜」 「うっ…」 マシューは同じ学校で、副会長をやっているのだが、双子の弟のアルのおかげで、その存在感は皆無に等しい。 「やあ!コーヒーとショートケーキとアップルパイ頼むぞ!」 「私ミルフィーユとマドレーヌとシュークリーム!あとコーヒーよろしく!」 「かしこまりました」 「ところで君誰だい?」 「マシューだよ!!!」 お馴染みのやり取りを傍観して、アルと向かい合わせの席に座る。 この店の常連である私たちの特等席なのだ。 「だいたい君、最近あのヨンスっていう転校生に構いすぎだよ!俺との約束すっぽかすなんて酷いんだぞ!どうせ君のことだから食べ物絡みなんだろうけど、絶対彼より俺にしといた方がいいと思うね!」 「そうだねー」 運ばれてきたコーヒーを飲みながら、アルの話を聞き流す。 「君聞いてないだろー!」とアルは怒るが、こいつに付き合うにはこれくらいがちょうどいいのだ。 [次へ#] |