美食日記 03 「ごちそうさまでした」 食べ終わり、手を合わせると、湾さんが目を丸くして言った。 「凄い…あの量食べちゃいましたよー」 「どんな胃袋してるあるか…」 余韻に浸っていると、湾さんが時計を見て慌てた声をあげた。 「師匠!もうこんな時間よー!」 「おぉ。店の準備をしなきゃならねぇある」 「じゃあ、私おいとましますね」 「えー!もう帰っちゃうんだぜ!?」 「ホントにごちそうさまでした。じゃあね、ヨンス君」 「バイバイなんだぜ!」 大きく手を振るヨンス君に挨拶して、裏門から出て行こうとすると、耀さんに呼び止められた。 「名前…って言ったあるか」 「?はい」 「美味そうに食う奴は嫌いじゃねぇある。……また来るよろし」 耀さんはニヤリと笑った。 満腹、満腹! 「ただし次からは店で金払って食うある」 「はい!……って、えええええ!!そりゃないですよ!」 [*前へ] |