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Long
プロローグ
 






この村に住み着いている狼がいる。聡明な顔立ちをした、雄の若い狼だ。綺麗な灰色の毛に、黄金がかった瞳。初めて見たときには、こんなに綺麗な生き物がいるのかと思ったほどだった。

僕はその姿を遠くから見つめているのが好きだった。でも、村の人間は違っていた。
何でもこの狼が一度お偉いさんの家に侵入したとかで、その件以降見る目が変わってしまったのだ。そして「あいつは危険だ」と理由をつけては石を投げたり罠を仕掛けたりして傷つけていた。

そんなことをするから驚いて攻撃してくるのだと何度言っても駄目だった。そんなに危険で疎ましい存在であるのなら、僕が面倒を見ると言っても相手にされるはずもなかった。

僕は歯がゆさと悔しさを抱えながら、彼の凛とした姿を見ていた。その姿はまさに孤高と言うに相応しい。それなのに、僕はどうしてこんなに無力なんだろう。情けなくなって、ついため息が漏れた。
ただ、彼はどこまでも美しかった。




この時、まさかこの彼と奇妙な生活を送ることになろうとは、夢にも思っていなかった。








end.







見切り発車過ぎて早速行く先が不安である。










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