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彼のスペシャリスト(神戸×祇園)
 


※方言男子で神戸×祇園






つんと澄まし顔。やっぱり美人やなぁ、と思いながら見ていると、祇園は不機嫌そうに背を向けた。


「人の顔じっと見な。気色悪い」
「だって、祇園ちゃん綺麗やから」


さっと赤く染まる頬。最初は気難しそうでお堅いイメージしかなかったけど、長い間一緒にいてわかった。きっと、こんなに分かりやすい人はいない。嬉しいときは頬を染めて、恥ずかしいときは瞳が潤んで、寂しいときはまつ毛が影を落とす。そして、拗ねてるときは、さっきみたいに済ました顔をするのだ。


「何拗ねてたん?」
「す、拗ねてなんかないわ!」
「はいはい、隠しても無駄やで」


つやつやした真っ黒い髪を撫でると、祇園は俺の胸に額を押し付ける。ごく自然な、温かい仕草だった。


「祇園ちゃん」
「なに…」
「顔上げて」


渋々といった具合に顔を上げた祇園の表情があまりに悩ましくて、思わず息を呑んだ。
誘うように赤い唇に吸い付くと、色っぽい吐息が漏れる。少しだけ熱くなった体を抱き寄せ、その感触を味わった。


「ん、っはぁ…いきなり、なに…っ」
「祇園ちゃんが拗ねたんは、俺のせいやろ?」
「せやから拗ねてへんって!」
「祇園」
「っ、」


真面目なトーンで名前を呼ぶと、祇園は体をびくつかせて目を伏せた。昔っから、こういうのに弱かったよな、こいつ。意外と純粋で、可愛い。


「あんたのせいやんか」
「うん。やから、言うて?」
「…神戸が、…、……から…」
「え?なんて?」
「せやから、神戸が楽しそうに女の子と喋ってたから…っ!」


泣きそうになりながら言った言葉は、あまりに幼稚な嫉妬だった。
そんなことであんなに機嫌損ねてたんや。なんて愛しい人なんだろう。


「なんや、嫉妬してくれてたんや…かわいい…」
「うるさいわアホ!離せ!」
「いやや!離さへん!!祇園ちゃんそんなに俺のこと好きやったんやなぁ!」
「ちゃうわ!ええ加減にせぇ!」
「そんな心配せんでも、俺には祇園ちゃんだけやで!」
「っ、あほ!」


顔を真っ赤にして反論する祇園ちゃんはそりゃもうかわいいなんてもんじゃなくて。俺はまた一つキスを落とした。


「…っ!神戸!」
「祇園ちゃん大好きやで!」
「…そんなん、前から知ってるわ」


かわいい。愛しい。好き。大好き。
ストレートな愛の言葉を投げ掛けると、暴言しか返ってこないけど。
大丈夫。その表情が、祇園ちゃんの全てを伝えてくれるから。










end.








ほんとに甘いなこれ。











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