sub キスの練習をさせてくれ(神戸×祇園) ※方言男子で神戸×祇園 ※「キスの練習をさせてあげる」の続き的なもの 『頑張りぃや、神戸』 そう言って綺麗に笑った祇園が、どうにも頭から離れない。 好きな人ができたからキスの練習をさせてくれ、と唆して祇園にキスをした。 柔らかい唇の感触。赤く染まった頬。潤んだ瞳。その全てが俺を煽った。 祇園は俺の言葉を疑うことなんてしなかった。ただ呆れて俺の戯れに付き合ってくれた。それがどれだけ嬉しくて、どれだけ切なかっただろう。 (もっと、傷ついた顔をしてくれると思った) それは悲しい期待だった。ほんの少しだけ、祇園は俺に気があるんじゃないかって、思っていた。いや、思いたかっただけかも知れない。 (あほらし) 祇園はきっと、俺なんかに何も思ってない。だからあんなこと、してくれたんだ。 最初はどんな形であれ祇園に触れられるだけでよかった。一瞬でも恋人のような時間を過ごせたら、それでよかった。だからあんな馬鹿なことを言ったんだ。 心まで欲しいなんて思わなかった。そんな大それたことは望んじゃいけない。それくらい、わかっていた。 (でも、へこむなぁ…) わがままだ。自分から仕掛けておいて、勝手に傷ついて。 あー俺って面倒臭いな。こんなんやから、祇園に好きになってもらえんのかな。 「あーもう、嫌いや」 祇園のことが好きで好きでたまらん俺なんか、嫌いや。 女々しくて、臆病で、回りくどくて。 「祇園…」 いっそ、何も言わなかったら。あるいは、 …あるいは、最初からこんな感情を抱かなかったら、どれだけ楽だったろう。 「好きや…好き…」 この言葉が、どこまでも空気を振動させ続けて、やがて祇園に届いたならどれだけ良いだろう。そんなありもしない妄想を、俺は今日も繰り返している。 end. よくわからない話になってしまった。 しかしキスの練習の浪漫が未だに凄い。 ★ [*前へ][次へ#] [戻る] |