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*Novels*
放課後授業


「きりーつ、礼ぇー。
さようならー」

「さようならぁー」


「やっと終わった〜。
帰り校庭に集合なー!」

「先生ーバイバ〜イ!」

「また明日ー」



学校の授業が終わって、授業から解放された子供たちが次々に教室を飛び出していく。


「さようなら。
みんな気をつけて帰るんだぞー」


そんな子供たちを見送り、先生は穏やかに笑って声をかけた。



あっという間に数の少なくなった教室で、
いまだにランドセルに荷物も入れず、椅子に座ったまま、
なにかに耐えるようにうつむく男の子に話しかける少年がいた。



「たかしー!
あれ?
たかし何やってるんだよ。
さっさと荷物しまって、早く家に帰ろうぜっ」

「しょうや、くん……。
僕ね、今日は用事ができちゃって、一緒に帰れないんだ。
ごめん…」

「なんだよ、それ!昨日はそんなの言ってなかっただろー。
今日はたかしの家で遊ぶって約束したじゃん!」


急なドタキャンに、しょうやは怒って文句を言う。


「急に、予定が入っちゃったんだ。
ごめんね……」


たかしがあまりにも具合が悪そうに、真っ赤な顔で息も絶えだえに謝るので、
責めているしょうやの方が悪いことをしてるような気分になり、あわててフォローに入った。



「でも、急な予定じゃしょうがないなよ。
それに、たかしすごく具合が悪そうだし…。
保健室行った方がいいよ、ついて行こうか?」

「う、ううんっ。
大丈夫…、たぶん風邪だと、思うから」

「そっか、じゃあ今日はしっかり休んで、
明日はちゃんと一緒に遊ぼうな」

「うん…」

「ちゃんと風邪治して、元気になれよー。
それじゃ、また明日なー!」



しょうやが帰って行くのを見て、たかしは気づかれなかったことにほっとため息をはく。そのとたん、ヴヴヴ…と身体の中に振動が走り、たかしはんっと息を詰めた。


「……ぁっ」


4限目の放課から、ずっとたかしの身体をさいなんできたかたまりが、再び振動を始めたのだ。


や、だ……っ。
みんなに、ばれちゃうよ…。



教室にはまだ数人のクラスメートが残っており、
このまま振動が強まったりしたら、きっと周りの生徒たちにもたかしの様子がおかしいのに気づかれてしまうだろう。



たかしは助けを求め、この状態を強いた張本人である黒板の前の人物に視線をやった。



「先生…」


小さくつぶやく。



先生は、たかしの声が聞こえたのか、
たかしのことを熱っぽく舐めるような眼差しで見たあと、満足そうに目を細めた。
 



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