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Dearボリック
マリアが見る夢。
真っ暗な世界。闇夜に落ちたそこはしんと嫌なくらいに静かだ。また、この夢か…。

グッと両腕に力が加わる。見えない何かが私にしがみついている。何かは小さく何か呟き続ける。やがて、その呟きは叫びに変わる。恨み辛みが加わった悲鳴のような叫び。

「…返して、返して、私の身体。返して、返して、私の居場所…返して、返せ!私の全て!貴女の居場所はそこじゃない!」

訳の解らない事を叫ぶそれがすごい力で私の腕を掴む。痛みでようやく私は言葉を紡ぐ事が出来る。

「いった…何なの、あんた!返せって、私はあんたとは関係無い!」

振りほどこうともがけばもがく程、それは離すまいときつく私の両腕を掴む。

「返せ!返せ!私の身体を、居場所を、あの子を持って行くのは許さない!代わりの分際で…身の程知らず!」

喚き散らすその声は小さな少女のような声をしていた。

    ・・・・・
「それはマリアンヌの身体よ!」

マリアンヌ?それは私でしょう!

「何訳解んない言ってるのよ!離しなさいよ!」

まだ訳解らない事を喚くそれを突き飛ばす。ようやく解放され、それに目を向けると同時に…私の目は開いた。

冷や汗が酷い。腕が軋む程痛む。見ればしっかりした跡が両腕についていた。
まるで今までの夢が事実だとでも言うように。

他にも色んな夢を見た。

教会で祈りをしてる最中に素知らぬ神官に焼き印を捺される夢や、逃げ惑う中…知人を助けようとして、その知人に石にされる夢…。そして…さっきの夢。

一つの物語のように永遠その三つの夢を交互に見る。

「何なの、一体…」

夢事態はなんて事無い。大して怖くとも何とも無い。だけど、まるでその事実が現実でも起こっているような痛みが襲う。それで…いつも目が覚める。眠りが深ければ深い程、痛みも比例する。

「こんな事、誰にも起こる事なの?」

引っ掛かる少女の言葉と夢。まるで呪い。

ダメ、これ以上考える気がしないわ。

…気分転換がてらにあの場所に行きますか。
私は溜め息吐いて、宿屋を後にした。


































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