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ShortStory
そんな君だから[克御:甘…?]


今日はとある社との交渉を、佐伯に頼まれ一人で出ていた。
私たちの会社兼自宅へと向かう帰り道、私はあるものを見つけてしまっていた。

「これは……。」

見つけたものは段ボール箱。
薄汚れたそれの中からは、がさごそと何かが動くような音がしている。

(捨て犬…いや猫かもしれない……)

基本、御堂は特に動物嫌いな訳ではない。
むしろ可愛いものは好きな方だろう。
それでも御堂はその段ボールに近づこうとはしなかった。

(見てしまったら絶対に連れて帰りたくなる。…だが家には佐伯が……。)

「それにあの家は元々佐伯の家だったのだし、勝手なことは出来ない。可哀相だが……。」

一瞬苦い顔をした御堂は、見なかったことにしようと自分に言い聞かせ、再び歩き出した。



☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆



会社には佐伯はいなかった。
社長室の鍵が開いていたから少しだけどこかに出ているのだろう。
そのまま帰ると言ってあったので遠慮無く帰って来た。

それにしても……………

忘れようとすればするほど、帰り道の段ボール箱が気にかかる。
思い出すのはあの時聞こえた小さな音……。

「………………………。」

佐伯が動物好きかどうかなんて知らない。
こんなことなら聞いておけばよかったかと思うがどうしようもない。

(佐伯が帰ってきたら言ってみ、……っ!?)


突然耳に入ってきたのは微かな音。
ザーッというそれは間違いなく………

「雨……。」

この調子ならば一晩中降り続くだろう。
そうしたらきっと、きっと、小さな命は、堪えられない!!

「仕方が無い!佐伯には後で話して分かってもらおう。」

勢いよく傘を掴んで外へ飛び出しかけたその時、タイミングよく鍵が解除されて扉が開いた。
そこにいる人物は決まっている。
佐伯だ。

「あっ、佐伯!?どうしたんだ!?ずぶ濡れじゃないか!待ってろ今タオルを……っと今はそれどころでは…!!」
「それどころって……。酷いですね、御堂さんは。」
「そうだ佐伯!お前、動物は平気か?もし平気なのならっ!?」
「そんなに気にしているのはひょっとしてコイツか?」

ずぶ濡れの佐伯のスーツの懐から、もぞもぞと小さな何かが這い出てきた。

「それは……まさか………?」

佐伯が連れ帰ってきたのは、とても小さな白い子猫だった。

「あんた、気にしてただろう?しばらく立ち止まって。」
「みっ、見ていたのか?!」
「あそこは会社の中から見えるんですよ。さすがに表情までは分からなかったが、気にしていたみたいだったからな。」

拭いてやれ、少し濡れた。と子猫を手渡された。
寒さからかふるふると震える体を温めるようにすると、みぃと小さく鳴いた。

「………よかった。その、佐伯、…………………ありがとう。」
「どういたしまして。とりあえずそれで満足でしょう?できれば早く風呂に行きたいんだがな。」

拗ねたような声は、さっき後回しにしてしまったことが原因か。
子猫よりも自分を構えということなのか。

「やっぱり優しいんだな、君は。」
「はい?俺は鬼畜で通してるんですが。」

そんな君が………

「そんな君だから……。」

好きになってしまったんだろうな。






「お前もそう思うだろう?」
「みぃっ♪」








〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

御堂さんが捨て猫を拾う話を書きたかった。
書き終わったら何故か佐伯さんが拾って来てたw

まぁ とりあえず よしってことで!


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あきゅろす。
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