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僕らの記念すべき初デート
『退っ!!次あれ乗ろう!』

「ま、また絶叫系!?」


今日私は、退と2人で大江戸遊園地に来てる。この間は途中で任務が入っちゃったから、その埋め合わせなんだって。

それに今日は空も曇っていて、夜兎にとっては最高のコンディション。私のテンションも最高潮だ。
だから今日は、私にとって最高の日!!


しかし、そんな最高の1日は長続きすることなく



「天誅ゥゥゥウッ」

「!!」

『!!』


その一声であっけなく吹き飛んでしまう。
さっきまで賑わっていたはず遊園地も、騒然とした空気に変わる。


「幕府の犬めェ!!成敗に参ったァ!!」


遊園地と言う場に似つかわしくない、顔を布で覆った男がザッと数えて30人。


「冴、向こう行ってて」


退の目付きも先程とは別人の様に鋭いものに変わる。


『…で、でも!』

「いいから早く!!」


退の気迫に負けた私は、仕方なく少し離れた場所へと移動する。


「貴様が真選組の監査、山崎退だな!?」

「…な、何ッ!?」


退は真選組の監査。
敵にその存在がばれるなんて、あってはならないこと。

でも…なんで?
今まで退の存在は、ばれていなかったはずだ。一体いつ、ばれたというのだろう?


「公衆の面前で、あんなにも白昼堂々と鬼の副長が私服の貴様に指示を出していれば、嫌でも目に付くと言うもの。」

「!!」

『!!』


あの時だ…!
この間、私と一緒にいたあの日。あの時にばれてしまったんだ!!


「フハハハッ 真選組の情報源である貴様を潰せば、我らとて今後の活動がやりやすくなるというもの。
更に今貴様は1人。たった1人で我ら全員の相手をするなど、普段戦陣に出ることのない貴様には到底無理。
この勝負、どうあっても我らの勝利は見えた様だな!フハハハッ!!」

『卑怯な手を…』


攘夷志士は、地球を私達天人が来る以前の“侍の国”に戻すために剣を取っているって聞いたことがある。
たった1人相手にこんなに多人数で戦いを挑んでいる奴らが侍…?全く、どうかしてる。


「真選組山崎、覚悟ォォオッ!!」


その合図で、周りにいた攘夷志士が一斉に退に斬りかかる。

しかし退も、普段戦陣に出ていないとは言っても、さすがは真選組の隊員。多人数相手でも、次々と敵の攻撃を交わしていく。




それでもやっぱり、退1人にこの多人数はキツイようで、少しずつ時間と共に、退が押されてきている。

地球(こっち)に来てから、夜兎の力を使うのを避けて来たが、今は状況が状況だ。
私も応戦しようと退の元へ向かおうとした、その時…





パァァァアンッ





辺りに乾いた音が響き渡る。


「くッ…」

『さ、退っ!!!』


私は慌てて退に駆け寄る。
どうやら、敵の撃った弾が退の腹部に命中してしまったらしい。

…よかった。急所は逃れたみたいだ。



でも、



退が撃たれた。
私がもっと早くに応戦してさえいれば……
私の、せいだ。
私の、せい。
私の……







誰?

退を、撃ったのは…





『…誰?』






それから私は、真っ暗な闇の中に引きずり込まれていった。





プツンっ、




私の中の奥深くに眠る“何か”が弾けたのを感じながら…













僕らの記念すべき初デート

だけどそれは、俺が始めてもう1人の君に会った日。

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