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歯車が動き出す



今、俺は冴とのデートの真っ最中。
冴はデートとか思ってないかも知れないけど、俺とすれば好きな相手と一緒にいるんだから、これはデートと呼んでもいいだろう。


昼食がまだだった俺達は、とりあえず近くのファミレスで食事を済ませる。その後、通りをぶらぶらしたり、途中気になった店に入ったりして、最終的に近くの公園のベンチに座って雑談をしていた。





それにしても…

可愛い。
ほんっとに可愛い。



見事に俺の好みのど真ん中だ。
隣を歩いている時の横顔も、美味しそうにオムライスを食べる姿も、笑顔も、仕草も、性格も、全て。
前に俺が冴を夜兎だと言い当てた時、彼女はすごく不安そうな顔をしていた。
でも、俺は夜兎の冴に惚れたんだ。種族なんて関係ない。

だけどやっぱりここは、冴の為にも男らしく自分の想いを伝えた方がいいのだろう。

…よし!


『…冴、』


俺は向き直って声をかける


「何?」


冴もこちらに向き直り、軽く首を傾げている。可愛い。
って、そうじゃなくて!


『あ、あのさ…』

「…ん?」

『お、俺…』



その時、


ファンファンファン…


どこからともなく、聞き慣れたサイレンが聞こえてくる。

このサイレンは…
ま、まさか…


「どけィ、真選組のお通りでィ」


更に聞き慣れた独特の江戸っ子口調がスピーカーを通して俺の耳にも入る。


やっぱり真選組だ…!!
なんでこんな時に!タイミング悪ィんだよ!!

それにしても、嫌な予感が…


『…冴、ちょっと走れる?』

「? う、うん」


冴の手を引きながら、俺はサイレンの聞こえて来る方向とは逆方向に向かって、全力で走った。



が、俺の全力疾走も虚しく


「お、山崎じゃねーですかィ」

『!!』


悪魔に見つかってしまった。


『た、隊長…』

「何やってるんでィ?」


ま、まずい!
隊長に、今まで冴とデートしてたなんてばれたら…!!


「…ん?」

「ど、どうも…」


ばれたーーーッ!!
もう!?ばれるの早くね!?
光の速さでばれちゃったよ!!

冴の存在を認識した瞬間、隊長のオーラがみるみるうちに黒くなっていく。
そして俺にとって、大きなダメージとなる言葉を一言。


「土方さーん、こんなとこに山崎がいますぜィ」


…終った。
最高の休日が。


「総悟、お前ェ仕事どーした
…って、山崎じゃねェか」


俺にとっての最強最悪の鬼の手によって。


『ふ、副長…お、お仕事ご苦労様です』

「おう」

『じゃあ俺、これから行くとこあるんで…』

「ちょっと待て山崎、調度いい。仕事だ」

『え、えぇぇええッ!?』


ほら、俺の予感的中。


『副長、話聞いてました!?嫌ですよ!俺今日仕事休みなんですよ!?』

「半日も休みゃァ十分だろォが」

『んな、また無茶苦茶なこと!いくら副長からの頼みでも今日だけは譲れません!!』

「あァ?副長命令に逆らうってかァ?」

『…っ、』


ひ、卑怯だ…!!コレ絶対職権乱用だ!!


「よし、行くんだな?」

『で、でも冴が…』


そう言いながら冴の方に振り向くと


「私は…別にいいよ?お仕事の方が大切でしょ?」

『冴…』


なんて謙虚な言葉!
…ヤバい、涙出る。


『わ、わかりました…』


俺は冴の言葉を受け、渋々ながらも承諾をする。

冴の為にも今回の任務、必ず成功させなければ…!!


『冴、この埋め合わせは絶対にするからね!』

「うん、わかった」


そう言って彼女が微笑むと、つられて俺まで笑顔になる。


『よし!じゃあ行ってくる!!』

「うん、気をつけてね」


冴の言葉を聞き終えると、俺は任務へと向かった。













歯車が動き出す

全ての始まりはここから…

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