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そんな平和な日々が



『いらっしゃいませー!』

「冴ーっ、いるー?」

『あ!退!!
もうそんな時間!?ちょっと待ってね、今準備する!!』

「そんな急がなくても大丈夫だよ?俺ちゃんと待ってるからさ」

『…うん、ありがと』


今日は待ちに待った、退とデートの日!バイト先の甘味屋の店長にも無理を言って早上がりにしてもらった。


『お疲れ様でしたーっ!』


私は急いでバイト先の制服を脱ぎ、今日着て来たお気に入りの着物に袖を通し、更に急いで退の元へと走る。


『退、お待たせっ』

「急がなくてもいいって言ったのに」

『いいの、いいのっ!』

「そお?

よし、じゃあ行こっか」

『うん!!』


外に出ると同時に、私は日傘をさす。別に、“日焼けが気になる”とかそういう女の子らしい理由じゃなくて、ただ単に、私は太陽の陽射しに弱いのだ。

この時点で多くの人が気付いたかもしれないが、お察しの通り、私は地球産の人間ではない。いわば私は天人、それも宇宙最強の異名を持つ“夜兎”。

しかし元々夜兎は、地球産に姿形が似ている上、私は他の夜兎の様に、チャイナ服も着ていなければ、さしている日傘も番傘ではない為、普通に生活していれば私が夜兎だと気付く人も少ない。

しかし退だけは、私の正体に誰よりも早くに気づいていた。やっぱり泣く子も黙る真選組で監査をやっているだけはあるが、退に自分が地球産ではないことを言い当てられた時は、もう駄目かと思った。でも、私の心配は無駄に終わり、退は私の正体を知っても尚、怯えることも、距離を置くもしないで、以前と変わらない態度で接してくれる。

そんな退だからこそ、一緒にいて楽しい、と心から思えるのかもしれない。





恋なんてもの、しばらくしていなかった私だけど、なんだか久しぶりに、恋をすることが出来る気がした。













そんな平和な日々が

続くことを祈っていた。

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あきゅろす。
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