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潤と祐二のその2
楽しい楽しい霊体験 11
おはよ。
次第に更紗の顔があの夢の少女とだぶるようになってきた。
俺は試したくなって、
「春?」
って呼んでみたんだ。

「はあい?」
って返事してから戸惑う更紗・・

「え゛っ?」
驚いたのは俺だ。
そして、更紗から、彼女の記憶がもの凄いスピードでなだれ込んで来た。
焼け野原で母を捜し求める更紗・・
もの凄い空腹感と戦いながら歩き続ける。
いつの間にか靴もぬげてしまったのだろう。
傷付いた足を引きずるように・・。
これが更紗の記憶か・・。足が痺れるように痛いぜ・・。

かあちゃんはいた。既に冷たくなっていた。病院の庭のむしろの上に寝かされていた・・。
顔はすすだらけだったが、綺麗な死に顔だった。

「お母ちゃんは死んでなんかいない!」
更紗の強い思念が流れてきた。その途端、記憶は真っ黒になって消された・・。
そう・・・遮断されたかのように・・。

更紗はにっこりと微笑んだまま、大粒の涙を流していた。
そうか・・やっと解った・・。こいつは自分で記憶を封じていたんだ。



と、・・・
更紗の足を何物かの手が掴んでいた。
異質な空間から手だけを突き出すように・・。




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