[携帯モード] [URL送信]

ひと夏の恋
page 12
おはよ。
俺ってば、すっげ〜顔・・。
『抱きしめて欲しかった。』
がずっと頭の中でリフレイン・・。
恋愛指数、全く0の僕には、これはかなり酷な言葉で・・。

「大丈夫か・・。潤」
と、祐二はいつの間にか、俺の心配をしている?妙な状況。
「てやんでい。だいじょふだぁ」
と、答える俺はどこの人?
健気に笑顔を繕う俺って良い奴。
まだ、大丈夫。
まだ、壊れてないぞ。

「なあ、祐二、この前さ、テレビでクローンの事、やってたよな?
臓器をもう一個、作るとかって。
いずれは臓器移植もなくなるんだろうな。
そしたらさ、
臓器から一個の人間も作れるよな。
でもって、
祐二、お前をどっかの秘密機関で作ってもらうのよ。

あ・・。
ダメか・・。
お前、死んでるから戸籍ないもんな・・・。

まてよ、母ちゃんに頼んで弟にして貰うっつうのは?」

「潤〜。どっからきてるのかな?その妄想・・。
僕はいいんだってば。別に生き返りたいなんて、思ってないし。
むしろ、ゾンビみたいで、それは・・。
潤、どっか逃げてない?

僕・・この前、魔夜ちゃんの顔、見たでしょ。
あの時ね、ちょっとショックだったの・・。
だって、僕自身は何も彼女にしてあげられない。
抱きしめるどころか、手も握れない・・・。
何一つ、彼女に届かない・・。

でもさ、潤?
君の瞳を通して彼女が見える。
君の手を通して彼女に触れられる。

潤、彼女の言うとおりに会ってくれない?
たとえ、握手会でもいいんだ。
僕は彼女にお別れを言いたい。ダメ?」

思いがけない祐二からの言葉です。
僕の心は複雑です。


っつ〜、事でまた、明日な。



  2020.7.8 jun.




[前へ][次へ]
[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!